摂食セルフケア不足(看護計画)
いつもご覧頂きありがとうございます。
今回はセルフケア不足シリーズの摂食編ですね。
セルフケアの要因は個人的な要因と環境的要因があると思います。
食行動ができなくなってしまう要因について考えていきましょう。
1.摂食セルフケア不足の対象
・意欲低下(精神疾患や認知症など)
・認知機能低下
・食べ物が認知できない
・季節や昼夜がわからない
・食べたかどうかわからない、食べた事を忘れる。食べていないことがわからない
・食欲の低下
・精神疾患(妄想や幻覚で食べられない:毒が入っているなど)
・嚥下機能障害
・麻痺
・運動麻痺:自力での摂食に限界がある
・運動麻痺:自助具を必要とする
・骨折
・空間無視(視界に制限がある)
・神経筋疾患(力が入らない、不随意運動があるなど)
・座位困難、立位困難
・疼痛
・心機能障害(入浴で苦しくなる、動悸、胸痛)
・呼吸機能障害(入浴で呼吸が苦しくなる、酸素の吸入)
・消耗性疲労★1
★1消耗性疲労については看護診断「消耗性疲労」も参考にしてみてください。
★口腔内のトラブルでは、看護診断「歯生障害」「口腔粘膜障害」も参考にしてみてください。
★既に嚥下機能障害のある場合には「誤嚥リスク状態」を参考にしてみてください。
2.目標設定
目標は患者さんを主語にして立てます。
・自身のADLや運動機能に合った自助具を選択し食事を自己摂取できる。
・自身の嚥下機能を把握し、安全に摂取できる。
・一日のスケジュールを把握できる。
・原疾患管理のための服薬ができる。
看護師を主語にする場合にはつぎのようになるとおもいます。
・摂食セルフケア維持のために、ADLや障害に合わせた自助具が選択できる。
・認知機能の低下による摂食ヘルスケア不足には、季節や日時を思い出してもらえる関わりを行う。
・誤嚥に注意し、安全に食事介助ができる。
・介助者・ご家族への食事介助方法の指導ができる。
・本人、家族の訴えを傾聴し、不安の緩和に努めることができる。
・残存機能を生かした生活ができるように、本人や家族へアドバイスをし、知識や技術を習得してもらう。
3.看護計画
1)観察計画《OP》
(1)身体的要因
・年齢
・認知機能:MMSE21点以下、長谷川式20点以下で認知症疑い
・体重の推移
・食事摂取量、水分摂取量
・食欲の有無
・食事の食形態
・食事を準備する人の有無
・嚥下機能検査の結果
・既往歴、現病歴など:
※高齢:廃用症候群、フレイル
※嚥下障害
※近骨格系疾患:可動域や関節の障害
※リウマチ、強皮症:指先の動きの障害
※脳血管疾患、脳内病変:麻痺、運動機能障害
※肺高血圧、COPDなどの肺疾患:呼吸苦、酸素吸入の必要性
※骨折
※消耗性疾患:重症感染症、貧血、脱水、低たんぱく血症など
※がん:疼痛や神経症状、呼吸苦など転移の場所により様々な症状がでる。生活への影響もある。
・ADL、IADL:食事動作について、自力でどこまで出来るか、自分で行う意欲があるか
・介護者の介護力、介入の程度
・バイタルサイン
・血圧、脈圧、左右差、脈拍欠損
・心拍数(徐拍、頻拍)、脈拍数(徐脈、頻脈)、心拍と脈拍の差
・SPO2
・疼痛:
・疼痛の程度:フェイススケール、ペインスケールなど。
・疼痛出現のタイミング:安静時疼痛、労作時の疼痛
・疼痛の部位
・疼痛の種類;刺すような痛み、突然の痛み、じわじわと圧迫されるような痛みなど
・鎮痛剤使用の有無
・麻痺:部位、範囲、完全麻痺、部分麻痺
・麻痺の場合の残存機能
・介護者の有無、介護者の介護力
・末梢の感覚(指先・足先)
・画像検査
・XP、CT:胸水、腹水、骨折、脳の損傷部位など
・筋力:MMT
・関節可動域
・自覚症状:
・呼吸困難、胸痛、動悸
・めまい
・静脈血データ
・貧血(RBC、Hb、HT)
・感染(プロカルシトニン、CRP、WBC、顆粒球・リンパ球)炎症が進むと凝固系も
・低たんぱく血症(Alb、TP)
・心原性ショック症状
・血圧低下、意識消失、尿量減少など
・心電図
・不整脈
・内服薬(6Rに添ってみてみる。どのようなものを飲んでいて、どのようなリスクがあるか確認)
(2)環境的要因
・摂食のための自助具の有無
・食事がセッティングされる状況にあるか
・金銭的要因
2)行動計画《TP》
・安全・安楽・自立に配慮したケアを行う。(残存機能を生かす)
・食事環境を整備する
・季節がわかるようにカレンダーを設置する。
・時間がわかるようにカーテンを開けたり、時計を設置する。
・食形態を調整する。きざみ、とろみなどの使用
・食事の姿勢を整える。
・パルスオキシメーターや血圧計も念のために準備しておく
・摂食の手伝い
・食事が取りやすい位置にセッティングする。
・自助具の使用を説明しながら、必要時は介助する。
・食べ物をすくえているかを確認し、身体機能に合わせたスプーンやお皿に適宜変更する。
・口元まで運べているか、できない場合は、柄の曲がったスプーンなど、身体機能に合わせてスプーンを検討する。
・一回量が適切か、咀嚼できているか、咽頭反射が起こっているかを観察し、安全に食べられれていることを確認する。
・むせ込みが見られたら食事を中止し、吸引を行う。
・十分な経口摂取量が確保できない場合は、医師に相談する。
食事を複数回に食事を分けたり、補助食品を検討してもらえることもある。
点滴などの追加があった場合には、安全に施行されるよう6Rに沿って確認して投与し、
適正に管理を行う。ルート類の整理を行い自己抜去が起こらない工夫をする。
・食事中の姿勢が維持されるように整える。頚部後屈しないように。
・途中で疲れてしまったら、食事介助に切り替える。
・動悸、気分不快、嘔気、めまい、浮遊感、頭痛などの出現がないか確認しながら介助する。
・疼痛でセルフケア不足になっている場合には、鎮痛薬を使用する。労作の30分前には投与する。
・ADL維持のための関節可動域訓練を行う。
・自宅でも自身でできることを支えるための環境整備をおこなう。布団→ベッドの生活など。ソーシャルワーカー、ケアマネージャーに相談し、必要なサービスが受けられるように調整する。
3)教育計画《EP》
・内服は自己中断せず、処方されたものを内服するよう説明する(自宅での療養生活を維持するために内服は大切です)。
・自覚症状(疼痛、動悸、息切れ、呼吸苦など)があったら知らせるようにお願いする。
・痛みは我慢せず、知らせるように説明する。必要に応じて鎮痛薬が使用できることを説明する。
・自助具の使用法について説明する。
・ライフスタイル変化への適応のための助言を行う。
・ADL維持や寝たきり予防のための生活リハビリや関節可動域訓練の必要性を説明する。退院後に自身でも継続できるように、ご本人とご家族に、リハビリ職から説明してもらう。
・ご家族へも手伝いすぎずに残存機能を残すための介助をするように説明する。(何をどこまで)
ご家族へ食事介助の方法を説明する。
・自宅での生活に必要なサービスが受けられるように、ソーシャルワーカー、ケアマネージャーに相談する。
最後までお付き合いいただきありがとうございました
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