電解質バランス異常(看護計画)
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電解質バランス異常(看護計画)
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この診断は小児も高齢者も多くあてはまりそうですね。
電解質バランスとは何かというところから学習を進めていきましょう。
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1.電解質
1)電解質とは
溶媒(水分や血液)中に溶解した際に、電荷を帯びて、陽イオンと陰イオンに電離する物質のこと。
電解質イオンには、ナトリウム(Na⁺)、カリウム(K⁺)、カルシウム(Ca²⁺)、マグネシウム(Mg²⁺)、塩化物(Cl⁻)、リン酸(PO₄³⁻)、および炭酸水素(HCO₃⁻)などがある。これらの電解質は、神経・筋の機能調整、酸塩基平衡、水分バランス維持の役割を果たす。
・ナトリウム(Na⁺):細胞外液に多い。血圧調整、神経・筋の刺激伝達
・カリウム(K⁺):細胞内液に多い。心筋収縮調整、神経活動
・カルシウム(Ca²⁺):心筋・骨格筋の収縮調整、骨・歯の構造機能を支持
・マグネシウム(Mg²⁺):酵素の活性化、タンパク合成
・塩化物(Cl⁻):細胞外液に多い。水分バランス維持、酸塩基平衡の指標
・リン(P):細胞内液の陰イオン、細胞膜や骨の構成

2)電解質バランス
成人体重の20%が細胞外液(血液5%、組織間液15%)、40%が細胞内液である。
細胞内液と細胞外液では電解質の移動がコントロールされ、ホメオスタシス(恒常性)が保たれている。
「有機酸」とは酸性の有機化合物の総称で、炭素を含む構造のもの。「乳酸」「クエン酸」「アミノ酸」「脂肪酸」がある。
炭素を含まないものを無機酸といい、体内では「カルシウムイオン」「ナトリウムイオン」「カリウムイオン」「マグネシウムイオン」「リン酸イオン」がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E8%A7%A3%E8%B3%AA%E7%95%B0%E5%B8%B8

3)酸塩 基平衡
※アレニウスの定義(水中のみ有効な定義)
酸とは、電離をして水素イオンH+を放出するもの。
塩基とは、電離をして水酸化物イオンOH−を放出するもの。
※ブレンステッド・ローリーの定義
酸とは、水素イオンH+を与えるもの。
塩基とは、水素イオンH+を受けとるもの。
酸塩基平衡は、酸と塩基のバランスが平衡となっている状態のこと。血液では、㏗が7.4となっている状態が正常で、平衡となっている状態である。
㏗の正常値は7.4 ± 0.05なので、7.35~7.45に保つようにホメオスタシスが働いている。
7.35未満を「アシデミア」といい、7.46以上を「アルカレミア」という。
アシデミアに傾くような状態を「アシドーシス」といい、アルカレミアに傾くような状態を「アルカローシス」という。
また、電解質バランス異常に似た言葉に酸塩基平衡があるが、両者は、ターゲットが異なる。
酸塩基平衡は㏗の調節に焦点を当てているのに対し、電解質バランス異常はミネラルイオンのバランスに焦点を当てている。
酸塩基平衡を見ることで、疾患が推測でき、疾患がわかると、ミネラルバランスが崩れた原因も推測できる。
酸塩基平衡は下の式で表すことができる。酸塩基平衡は「肺」と「腎臓」で調整しており、どちらかが不調で十分に役割を果たせずに㏗が傾いたら、他方が代償的に働く場合も多い。
CO2 + H2O ⇔ H2CO3 ⇔ H+ + HCO3-
二酸化炭素+水 ⇔ 炭酸 ⇔ 水素イオン+重炭酸イオン
酸塩基平衡は血液ガス検査のデータから評価が可能である。
当サイトの「検査」より抜粋

4)ベースエクセス(BE):塩基過剰
ベースエクセスとは、その血液検体の㏗を7.4(正常値)に戻すのにどれだけの強酸を必要とするかを表した指標のこと。
血液ガス検査では、上の値が測定できる。
その結果をベースエクセス(BE)の式や、その次に紹介するアニオンギャップの式に当てはめると、アシドーシスやアルカローシスの原因が「呼吸性」なのか「代謝性」なのか「混合性」なのか推測できる。
(1)BE基準値
・基準値:-2~+2mEq/L
・正の数値は塩基の過剰を示し、負の数値は不足を示す。
酸塩基平衡は、呼吸器系と代謝系でバランスをとっている。
呼吸器系はCO2で調整し、代謝系はHCO3-で調整している。
塩基過剰は代謝成分から産出する。算出式はHCO3-濃度と㏗の値から以下の式で導く。
BE= 0.93×(HCO3- ― 24.4 + 14.8 ×(pH ― 7.4)
(2)塩基過剰の原因
①高塩基過剰(HCO3-増加):代謝性アルカローシス
・原発性呼吸性アシドーシスの代償
・嘔吐による胃酸中のHCLの過剰な損失
・クッシング病による重炭酸塩(HCO3-)の過剰産生
②塩基欠乏(HCO3-減少):代謝性アシドーシス
・原発性呼吸性アルカローシスの補償
・糖尿病性ケトアシドーシス(高レベル酸性ケトン体が産生される)
・乳酸アシドーシス(激しい運動中の嫌気性代謝・低酸素症による)
・慢性腎不全(酸の排泄と吸収の防止、重炭酸塩の生成)
・下痢(HCO3の喪失)
・メタノール、エチレングリコール、過剰なアスピリンなどの毒物摂取
5)アニオンギャップ
陽イオンのことを「カチオン」といい、陰イオンのことを「アニオン」という。
アニオンギャップは陽イオン「カチオン」と陰イオン「アニオン」のバランスから、有機酸の量を把握することである。
※主な陽イオンはナトリウム(Na+)、主な陰イオンはクロール(Cl-)、重炭酸イオン(HCO3-)、有機酸である。
※有機酸は酸性の有機化合物の総称で、炭素を含む。「乳酸」「クエン酸」「アミノ酸」「脂肪酸」がある。
※炭素を含まないものを無機酸といい、「塩酸」「硫酸」「硝酸」がある。
※イオンには、測定できるイオンと測定できないイオンがある。陽イオンには測定できる陽イオンと測定できない陰イオンが存在し、陰イオンも同様に測定できる陰イオンと測定できない陰イオンがある。
※陽イオンの総量の方が陰イオンの総量よりも多いため、その差(ギャップ)をアニオンギャップと呼ぶ。
(1)アニオンギャップの正常値
①アニオンギャップ(AG)の基準値は12±2 mEq/L
↓
計算式:Na+ -( HCO3- + Cl- )= AG
※各項目の正常値
・Na+ =約140mEq/L
・Cl- =約100mEq/L
・HCO3- =約25mEq/L
②アルブミンによる補正値
アニオンギャップ値はアルブミンの値も影響する。
アルブミン濃度がわかっている場合には、アルブミン補正を行う。※補正式の方がより信頼できるとされている。
とくにアルブミンが正常値を逸脱している場合には補正を行う。
アニオンギャップ―アルブミン補正式
↓
AGc=AG+2.5 ×(4.5ーアルブミン濃度)
(2)アニオンギャップの異常
①アニオンギャップの上昇&代謝性アシドーシス
・血液ガス分析でpHが7.4未満でかつアニオンギャップが14mEq/L以上
は固定酸や不揮発性酸の蓄積による代謝性アシドーシスとなっていることが考えられる。
・乳酸アシドーシス(敗血症、ショック、ビタミンB1欠乏、肝不全、ビグアナイド)、アルコール性ケトアシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全(遠位尿細管でのH+排泄ができない)、飢餓状態、サリチル酸などの毒物摂取
②アニオンギャップ正常値&代謝性アシドーシス
・血液ガス分析でpHが7.4未満でかつアニオンギャップが正常値
はHCO3-の喪失が多い状態で、代わりにCl-が代償する形で増加している(=代償によりアニオンギャップが正常値で維持されている)ことが考えられる。
・下痢、早期腎不全(近位尿細管でのHCO3-の再吸収ができない)、アセタゾラミド、尿管小腸吻合術
③アニオンギャップの低下
・低アルブミン血症、低栄養
6)ベースエクセスとアニオンギャップの関係
アニオンギャップは、塩基欠乏(BEが正常値より低い)が、酸の添加によるものか、重炭酸塩の喪失によるものかを判断するのに役立つ。
①陰イオンが上昇した塩基欠乏は酸の添加を示す。
→アニオンギャップがプラスで、BEがマイナスの場合ということ。
→酸の添加というのはケトアシドーシス
②アニオンギャップが正常で、塩基欠乏(BEが正常値より低い)は重炭酸塩の喪失
→アニオンギャップが正常で、BEがマイナスの場合ということ
→重炭酸塩の喪失は下痢など
3.アシドーシス・アルカローシス
1)アシドーシス
★呼吸性アシドーシス:PaCO2が増加
★代謝性アシドーシス:HCO3-が減少
(1)酸の産生が多くなっている代謝性アシドーシス
・乳酸アシドーシス(敗血症、ショック、ビタミンB1欠乏、肝不全、ビグアナイド)
・アルコール性ケトアシドーシス
・糖尿病性ケトアシドーシス
・腎不全(遠位尿細管でのH+排泄ができない)
・飢餓状態
・サリチル酸などの毒物摂取
(2)塩基の喪失が多くなっている代謝性アシドーシス
・下痢
・早期腎不全(近位尿細管でのHCO3-の再吸収ができない)
・アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス、肺気腫における呼吸性アシドーシスの改善、緑内障、てんかん抑制作用)
・尿管小腸吻合術
(3)呼吸性アシドーシス
・低換気(呼吸数・呼吸量の減少)による二酸化炭素の蓄積
2)アルカローシス
★呼吸性アルカローシス:PaCO2が減少
★代謝性アルカローシス:HCO3-が増加
(1)塩基の産生が多くなっている代謝性アルカローシス
・原発性呼吸性アシドーシスの代償
・クッシング病による重炭酸塩(HCO3-)の過剰産生
・HCO3-の再吸収亢進
・NaCl喪失による細胞外液の減少(CL-の減少で陰イオンの平衡を保つためにHCO3-の再吸収が増加する)
・利尿薬投与
・原発性・続発性アルドステロン症
(2)酸の喪失が多くなっている代謝性アルカローシス
・嘔吐による胃酸中のHCLの過剰な損失
・細胞内へのH+の移行(血液中からは喪失している)
・HCO3-の過剰投与
(3)呼吸性アルカローシス
・過換気(呼吸数・呼吸量の増加)
・呼吸数や換気量の増加は、代償的に起こることが多く、重篤な状態が想定される。
4.「電解質バランス異常リスク状態」看護計画の対象
・意識的に水分を控えてしまう(トイレに行く頻度を減らしたくて水分を自主的に制限してしまう。高齢者など)
・認知症(水分を摂ることを忘れている)
・小児・高齢者(容易に脱水になりやすい)
・体液量異常(水中毒、脱水)
・下痢
・嘔吐
・内分泌機能異常
・腎機能異常
・利尿薬、ダイアモックス、輸血など治療に続発して症状が発生するもの
・尿崩症
・ケトアシドーシス
5.目標
目標は患者さんを主語にして立てます。
・医師の処方どおりの服薬ができる。
・適時適量の水分・ミネラル補給ができる。
・便の性状を把握できる。
・異常が続く場合には病院受診できる。
6.看護計画
1)観察計画《OP》
・年齢
・原疾患・内服薬・発症の背景
・既往歴・内服薬
・認知機能
・高齢者の日常生活自立度
・ADL
・血液検査データ(静脈、動脈)
・尿検査データ
・症状
・アシドーシスの症状
・悪心・嘔吐
・意識レベル低下、錯乱
・頭痛
・不整脈
・頻呼吸
・アルカローシスの症状
・低カリウム血症
・筋肉のけいれん
・指先、足先、唇周囲のピリピリ感
・治療内容
・治療の理解度
2)行動計画《TP》
電解質バランス異常では、原因に合わせた治療が行われるため、治療計画に合わせた看護を行う。
・環境整備、ルート類の整理、ナースコールの位置
・検査介助
・点滴
・不足しているセルフケアに対する援助
・気分転換活動
・傾聴
・ADL維持、生活リハビリ
3)教育計画《EP》
・治療の内容について理解度を確認し、不足部分を補う。
・必要時はナースコールで知らせていただくようにお伝えする。
・医師の処方通りの服薬をするよう説明する。(原疾患の治療)
・脱水の兆候について説明する。
(口渇、尿回数・量の減少、尿の尿祝、皮膚の感想など)
・適時適量の水分補給、ミネラル補給の必要性について説明する。
・(在宅)異常が続く際には病院受診するよう説明する。(下痢、嘔吐など)
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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