排尿障害(看護計画)
目次
排尿障害(看護計画)
いつもご覧いただきありがとうございます。
今回は「排尿障害」について考えていきます。
排尿障害とは尿の蓄積と排出に問題のある状態です。
具体的には、頻尿、尿失禁、尿線の狭小化(尿の流れが細くなる)、尿意切迫、残尿感があります。
まず、排尿のメカニズムからおさらいし、その後に排尿障害について考えていきましょう。
お急ぎの方は下のスキップより目的の記事に飛んで下さい。
1.排尿とは
排尿とは、尿を体外へ排出することです。まずはメカニズムを確認していきましょう。看護師の国家試験にも出ますよ☺
1)排尿機能の神経支配
排尿は、自律神経系での自動調節と、体制神経での任意の調節で成り立っており、
支配神経は以下のようになっています。
★排尿の指示系統は「大脳皮質(前頭葉)」→脳幹・橋「排尿中枢」→仙髄「排尿中枢」です。
①交感神経(下腹神経)
・排尿筋を弛緩、内尿道括約筋を収縮→排尿を抑制する
②副交感神経(骨盤神経)
・排尿筋を収縮、内尿道括約筋を弛緩→排尿を開始する
③体性神経(陰部神経)
・外尿道括約筋を収縮→排尿の一時停止をする(我慢)
2)排尿の機序
排尿は次の機序で成り立っています。
①膀胱に尿が貯まる。
大脳皮質(前頭葉)で尿の流入を感知し、脳幹の排尿中枢へ知らせが届く。
脳幹の排尿中枢は、下腹神経を刺激して膀胱の排尿筋を弛緩させて、内尿道括約筋を収縮させる。
よって膀胱が尿を入れる入れ物として機能する。
②膀胱内に一定の尿量が貯留する。
膀胱内に150~300ml程の尿が貯留する。
膀胱壁が伸展し、大脳皮質(前頭葉)で尿が溜まってきたことを知覚する。
大脳皮質は、脳幹の排尿中枢へ排尿するための指令を出す。
脳幹の排尿中枢は、仙髄の排尿中枢へ排尿するための指令を出す。
脳幹の排尿中枢は、上の指示と同時に、下腹神経の活動中止も指示する(蓄尿を中止する)。
③排尿反射が起こる。
脳幹の排尿中枢から指示を受けた、仙髄の排尿中枢は、
骨盤神経を通じて排尿筋を収縮させ、内尿道括約筋を弛緩させる。
すると、膀胱が収縮し、尿道が開くため排尿する。
④排尿を我慢するとき
大脳皮質は②で尿の貯留を認識していても、すぐに排尿させずに蓄尿を継続させることができる。
大脳皮質は、仙髄の排尿中枢に尿を我慢するように指令を出す。
仙髄の排尿中枢は、陰部神経を介して外尿道括約筋を収縮させて、排尿を防ぐ。
3)排尿障害の治療
①α₁遮断薬:前立腺に存在するα₁受容体を遮断し、尿道の内圧を下げることで、尿の通りをよくする。前立腺肥大のある男性にも使用できる。
・タムスロシン(ハルナール)、シロドシン(ユリーフ)ナフトピジル(フリバス)
②抗コリン薬:膀胱にあるムスカリンM3受容体を抑えることで、膀胱の緊張を和らげる。過活動膀胱による尿意切迫や頻尿に効果がある。前立腺肥大の人には禁忌となっている。抗コリン作用が、膀胱の弛緩と、膀胱括約筋の緊張させ余計に尿を出しにくくするため。
・ソリフェナシン(ベシケア)、プロピベリン(バップフォー)、イミダフェナシン(ウリトス、ステーブラ)
③β₃刺激薬:抗コリン薬に変わる薬として登場。膀胱のβ₃受容体を刺激し、膀胱を弛緩させ蓄尿量を正常に戻す。
・ミラベグロン(ベタニス)、ベオーバ(ビベグロン)
2.排尿障害
排尿障害は「尿の蓄尿障害」と「尿の排出障害」の2つに分けられます。
尿の畜尿障害とは尿を食べることが困難となることで、尿の排出障害とは尿が出しにくくなる状態のことです。
(1)排尿障害の原因となる疾患
①蓄尿障害の原因となる疾患(膀胱に貯められなくなる、我慢できなくなる)
・過活動膀胱→尿意切迫、頻尿、尿失禁
・神経因性膀胱:排尿に関与する神経の障害による排尿障害で、尿を我慢したり(蓄尿したり)、排尿する機能(我慢できなくなったり、うまく出なくなったり)がコントロールできなくなってしまう。
(・脳血管疾患・糖尿病・子宮全摘術後・骨盤内手術後・アルツハイマー病
・パーキンソン病・多発性硬化症・小脳変性症・二分脊椎症
・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・糖尿病末梢神経障害)→乏尿、尿意切迫、頻尿、尿失禁
・間質性膀胱炎(細菌感染以外による膀胱の慢性的な炎症)、
・膀胱炎(細菌感染による膀胱の炎症)→頻尿、尿意切迫
・膀胱結石(結石による頻繁な細菌感染)→頻尿、尿意切迫
・骨盤底筋群の筋力低下:肥満、出産、加齢→尿もれ、尿失禁
・カフェイン、アルコールの過剰摂取→頻尿、尿意切迫
②排出障害の原因となる疾患(尿を一度に勢いよく出せなくなる)
・神経因性膀胱 :排尿に関与する神経の障害による排尿障害で、尿を我慢したり(蓄尿したり)、排尿する機能(我慢できなくなったり、うまく出なくなったり)がコントロールできなくなってしまう。
(・脳血管疾患・糖尿病・子宮全摘術後・骨盤内手術後・アルツハイマー病
・パーキンソン病・多発性硬化症・小脳変性症・二分脊椎症
・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・糖尿病末梢神経障害)→尿がうまく出せない、尿線の狭小化
・前立腺肥大→尿線の狭小化、残尿、頻尿、尿もれ
・骨盤臓器脱・骨盤底筋の筋力低下(膀胱瘤、子宮脱)→尿道の圧迫による尿線の狭小化、残尿、頻尿、尿もれ
・尿道狭窄(内視鏡検査後など、尿道内に傷がついている)→尿線の狭小化、残尿、頻尿、尿もれ
・尿管結石、尿道結石、
・膀胱腫瘍、尿道腫瘍
・陰茎がん
・子宮筋腫
③排尿障害をきたす薬剤によるもの
・抗コリン作用のある薬剤
(抗コリン薬,抗うつ薬,鎮痙薬,抗ヒスタミン薬)
・膀胱平滑筋弛緩薬
・β2アドレナリン受容体刺激薬
・鎮咳薬
・パーキンソン症候群治療剤
・利尿剤
(2)排尿障害の症状
①蓄尿の障害
・頻尿
・尿意切迫:突然起こる我慢できない尿意
・尿失禁:腹圧性、切迫性、混合性、機能性、溢流性
・遺尿症
・夜間遺尿症(夜尿症)
②尿排出障害
・尿勢低下:排尿の勢いの低下
・尿線分割・散乱・途絶:排尿中に尿が分割したり中断してしまう
・排尿遅延:尿意を感じてから排尿開始に時間がかかる
③排尿後症状
・残尿感
・排尿後尿滴下:尿漏れ
3.看護計画「排尿障害」の適応
排尿障害は「尿の排出障害」と「尿の蓄尿障害」の2つに分けられます。それに加えて、薬剤による影響もあります。
排尿障害は「尿の蓄尿障害」と「尿の排出障害」の2つに分けられます。
尿の畜尿障害とは尿を食べることが困難となることで、尿の排出障害とは尿が出しにくくなる状態のことです。内容は先ほどと重複しています。お急ぎの方は次の目標設定へ移ってください。
①蓄尿障害の原因となる疾患(膀胱に貯められなくなる、我慢できなくなる)
・過活動膀胱→尿意切迫、頻尿、尿失禁
・神経因性膀胱:排尿に関与する神経の障害による排尿障害で、尿を我慢したり(蓄尿したり)、排尿する機能(我慢できなくなったり、うまく出なくなったり)がコントロールできなくなってしまう。
(・脳血管疾患・糖尿病・子宮全摘術後・骨盤内手術後・アルツハイマー病
・パーキンソン病・多発性硬化症・小脳変性症・二分脊椎症
・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・糖尿病末梢神経障害)→乏尿、尿意切迫、頻尿、尿失禁
・間質性膀胱炎(細菌感染以外による膀胱の慢性的な炎症)、
・膀胱炎(細菌感染による膀胱の炎症)→頻尿、尿意切迫
・膀胱結石(結石による頻繁な細菌感染)→頻尿、尿意切迫
・骨盤底筋群の筋力低下:肥満、出産、加齢→尿もれ、尿失禁
・カフェイン、アルコールの過剰摂取→頻尿、尿意切迫
②排出障害の原因となる疾患(尿を一度に勢いよく出せなくなる)
・神経因性膀胱 :排尿に関与する神経の障害による排尿障害で、尿を我慢したり(蓄尿したり)、排尿する機能(我慢できなくなったり、うまく出なくなったり)がコントロールできなくなってしまう。
(・脳血管疾患・糖尿病・子宮全摘術後・骨盤内手術後・アルツハイマー病
・パーキンソン病・多発性硬化症・小脳変性症・二分脊椎症
・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・糖尿病末梢神経障害)→尿がうまく出せない、尿線の狭小化
・前立腺肥大→尿線の狭小化、残尿、頻尿、尿もれ
・骨盤臓器脱・骨盤底筋の筋力低下(膀胱瘤、子宮脱)→尿道の圧迫による尿線の狭小化、残尿、頻尿、尿もれ
・尿道狭窄(内視鏡検査後など、尿道内に傷がついている)→尿線の狭小化、残尿、頻尿、尿もれ
・尿管結石、尿道結石、
・膀胱腫瘍、尿道腫瘍
・陰茎がん
・子宮筋腫
③排尿障害をきたす薬剤によるもの
・抗コリン作用のある薬剤
(抗コリン薬,抗うつ薬,鎮痙薬,抗ヒスタミン薬)
・膀胱平滑筋弛緩薬
・β2アドレナリン受容体刺激薬
・鎮咳薬
・パーキンソン症候群治療剤
・利尿剤
4.目標設定
目標は患者さんを主語にして立てます。
・(頻尿)自身の排尿パターンに合わせてトイレに行く。
・(頻尿)排尿が間に合うような排泄環境を整える。
・(尿失禁)骨盤底筋体操を行う。
・(膀胱炎)陰部を清潔に保つ。
・(感染症など)処方された内服薬を指示通りに服用する。
看護師を主語にする場合には以下のように立てられると思います。
・排尿障害による生活リズムの乱れ(不眠や不穏など)を改善するための支援をする。
・排尿機能に合わせた排泄環境を整える。
・排尿障害による2次的な事故を防ぐ。(転倒など)
5.看護計画
1)観察計画《OP》
《正常な排尿か現状を把握するための項目》
・年齢、性別
・排尿障害につながる疾患の有無(排尿障害適応を参照)
・ADL、介助量(全介助、部分介助)
・排泄環境(トイレ、ポータブル、おむつ)
・清潔ケアの頻度
・おむつ汚染の頻度(尿路感染のリスク)
・水分摂取量(控えていないか、飲みすぎていないか)
・カフェイン、アルコールの飲用頻度
・尿意の有無
・尿意を感じてから、トイレまでの移動にかかる時間
・尿の回数
・排尿パターンの把握(排尿日誌をつけるなど)
・利尿薬の内服の有無
・抗コリン作用のある薬剤
(抗コリン薬,抗うつ薬,鎮痙薬,抗ヒスタミン薬)
・膀胱平滑筋弛緩薬
・β2アドレナリン受容体刺激薬
・鎮咳薬
・パーキンソン症候群治療剤
・排尿パターン(〇時間おき、食後など)
・尿量、尿線(勢いよくまっすぐに出るか、男性は放射線状に出るか)
《排尿障害の可能性のある徴候》
・頻尿
・夜間頻尿、不眠
・排尿中に途切れる、分裂する
・排尿時痛
・排尿後に膀胱内は空になっていない、残尿感
・尿の性状異常(尿臭、尿の混濁、血尿)、発熱
・頻尿
・排尿の切迫感
・尿失禁(腹圧性、切迫性、混合性、機能性、溢流性)
・笑う、くしゃみ、持ち上げるなどの腹圧のかかる作業で尿漏れがある。
2)行動計画《TP》
・看護の原則「安全」「安楽」「自立」を念頭に置いた関わりをする。
・安全な療養生活が送れるように療養環境の整備を行う。
・尿意を感じた際に、スムーズに移動できるよう、トイレまでの動線を確保する。
・トイレやポータブルまでの移動で転倒が起こらないように、整頓する。
・トイレへの移動時に管類が引っ張られないように整頓する。また、管類の管理を患者に教える。
・付き添いが必要な患者で、ナースコールを押さない(あるいは押せない)場合には、一人で動いて転倒するリスクがあるため、ナースステーションに近い部屋にする。できない場合には、頻回に見回る、排尿パターンを把握して定期的に誘導する、センサーマットを使用するなどの工夫をする。
・着脱しやすい服を選択する。
・排尿パターンに合わせてトイレ誘導をする。
・膀胱訓練の介助をする。
・おむつ交換の頻度を適切に設ける。
・尿漏れがある場合には、パッドを使用し、こまめに交換する。
・おむつ装着者は陰部洗浄を行う。トイレ使用の患者はウォシュレットの使用を勧める。
・腹圧性尿失禁のある場合には、骨盤底筋体操の方法を習得してもらう。(看護師は説明しながら介助する)
・夜間頻尿などで睡眠が十分でない場合には、医師へ報告相談する。
・夜間頻尿がある場合には、夜間だけポータブルトイレや尿器を使用することを提案する。
・家族構成や、主介護者のADLを加味したケア計画を立てる。そのうえで、患者と家族がケアを自宅でも実践できるように、わかりやすく説明しながら、一緒に実践し、覚えてもらう。
・介護負担が大きくならないように、患者自身ができることは、自分でできるように促す。
・認知症などでトイレの場所がわからなくなり失禁してしまう(機能性尿失禁)場合には、トイレの近くの部屋にし、トイレの前には「トイレ」と張り紙をするなどの工夫をする。
3)教育計画《EP》
・排尿障害となる理由(疾患、薬剤等)を説明する。
・見守りや付き添い、介助が必要な患者には、安全のために尿意を感じたらナースコールを押すように説明する。
何度も自分で動いてしまう場合には、繰り返し説明し、行動変容を促す。
・リハビリの進行具合を確認しながら、患者と相談し、患者の体格や習慣に沿った排泄環境を整備する。
・尿漏れがひどい場合には、投薬を検討してもらえるように医師に相談してみることを提案する。
・尿のパッドは汚染したら交換するように説明する。尿路感染のリスクについても説明する。
・適切な水分量を摂取するように説明する。1日1500ml程度(こまめに200mlコップを7杯)
・尿がでなくなった、尿が出すぎる、急な尿意で間に合わなくなる、尿漏れがひどくなるなどの症状があらわれたら、医師や看護師へ相談するように説明する。
・腹圧性尿失禁の場合には、骨盤底筋体操の方法を、パンフレットを使用して説明する。
・前立腺肥大などの基礎疾患のある場合には、定期的に受診するように説明する。
・退院前から、自宅の排泄環境を整える。ソーシャルワーカーと連携して、ポータブルトイレを設置してもらうなどの工夫をする。
・認知症などでトイレの場所がわからなくなり失禁してしまう場合には、自宅でも、トイレの近くの部屋にし、トイレの前には「トイレ」と張り紙をするなどの工夫をする。
・退院後の排尿環境を患者や家族と考えていく。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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