急性疼痛(看護計画)
目次
急性疼痛(看護計画)
いつもご覧頂きありがとうございます(*゚▽゚*)
今回は「急性疼痛」について考えていきます。
急性疼痛は実習でよく使用する看護問題だと思います。急性期だったり周産期だったり。
痛みの感じ方は個人差が大きいですね。
痛みの分類、痛みの種類(全人的苦痛)、疼痛コントロールからおさらいしてみましょう。
今回のテーマは長丁場になりますから、わかっているところは読み飛ばしていってくださいね。
また、3か月以上痛みが持続したり反復している患者さんに対しては、「慢性疼痛」の計画を立案してみてください。
1.痛みの性質による分類
https://www.jspm.ne.jp/guidelines/pain/2010/chapter02/02_01_01.php
日本緩和医療学会のHPより引用させていただきます。
疼痛は大きく分けて「障害受容性疼痛」と「神経障害性疼痛」に分けられます。
障害受容性疼痛はさらに「体性痛」と「内臓痛」に分けられます。
それぞれを見てみましょう。
1)体性痛
①定義
皮膚や骨、関節、筋肉、結合組織といった体性組織への、切る、刺すなどの機械的刺激が原因で発生する痛み。
②痛みの特徴
骨転移の痛み、術後早期の創部痛、筋膜や筋骨格の炎症や攣縮に伴う痛みなど。
組織への損傷あるいは損傷の可能性が原因で発生し、ほとんどの人が急性あるいは慢性に経験する痛みである。損傷部位に痛みが限局しており、圧痛を伴う。
一定の強さに加えて、時に拍動性の痛みやうずくような痛みが起こる。
体動に随伴して痛みが増強する。
骨・関節などの深部体性組織に病巣がある場合は、病巣から離れた部位に痛みを認めることがある(関連痛)。
③治療薬
通常、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドといった鎮痛薬が有効である。
体動時の痛みの増強に対してはレスキュー・ドーズの使用が重要である。
骨転移痛に対するビスホスホネートや筋攣縮に対する筋弛緩作用のある薬剤など、病態に基づく鎮痛補助薬の併用が必要な場合がある。
2)内臓痛
①定義
食道、胃、小腸、大腸などの管腔臓器の炎症や閉塞、肝臓や腎臓、膵臓などの炎症や腫瘍による圧迫、臓器被膜の急激な伸展が原因で発生する痛み。
②痛みの特徴
胸部・腹部内臓へのがんの浸潤、圧迫が原因で発生する。
内臓は体性組織と異なり、切る、刺すなどの刺激では痛みを起こさない
固形臓器(肝や腎など)の場合は被膜の急激な伸展、管腔臓器の場合は消化管内圧の上昇を起こすような圧迫や伸展、内腔狭窄が原因で痛みが発生する。
「深く絞られるような」あるいは「押されるような」などと表現される痛みで、局在が不明瞭である。
嘔気・嘔吐、発汗などの随伴症状を認める場合がある。
肝臓がんで肩が痛くなるなど、病巣から離れた部位に痛みが発生することがある(関連痛)。
③治療薬
非オピオイド鎮痛薬・オピオイドといった鎮痛薬が有効である。
3)神経障害性疼痛
①定義
末梢、中枢神経の直接的損傷に伴って発生する痛み。
②痛みの特徴
障害された神経の支配領域にさまざまな痛みや感覚異常が発生する。通常、疼痛領域の感覚は低下しており、しばしば運動障害や自律神経系の異常(発汗異常、皮膚色調の変化)を伴う。
・刺激に依存しない自発痛
「灼けるような」持続痛(灼熱痛*1)や、「槍で突きぬかれるような」、「ビーンと走るような」電撃痛*2が混じることが多い。
・刺激に誘発される痛み
通常では痛みを感じない程度の痛み刺激に対しても痛みを感じる痛覚過敏や、刺激に対する感受性が亢進している感覚過敏、通常では痛みを起こさない刺激によって引き起こされる痛みであるアロディニアが特徴的である。
・異常感覚
自発的、または、誘発性に生じる痛みではない異常な感覚がみられる。不快を伴わない場合と、不快を伴う場合とがある。
3.トータルペイン(全人的苦痛)
次はトータルペインについて考えていきます。
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国際疼痛学会では、「痛み」を次のように定義しています。
「実際に何らかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に表現されるような、不快な感覚体験および情動体験」
そして、さらに「痛みは主観的な症状であり、心理社会的、スピリチュアルな要素の修飾を受ける」としており、トータルペインの考え方に当てはまります。
ではトータルペインについて考えてみましょう。
1)トータルペイン(全人的苦痛)の4つの要素
トータルペインには「身体的苦痛」「精神的苦痛」「社会的苦痛」「霊的苦痛」がある。
(1)身体的苦痛
・痛み
・身体症状
・ADLの定価
・日常生活への支障
(2)精神的苦痛
・不安
・いらだち
・孤独感
・恐れ
・怒り
・うつ状態
(3)社会的苦痛
・仕事の問題
・経済問題
・家庭内の問題
・人間関係
・遺産相続
・医療負担の増加
(4)スピリチュアルペイン(霊的苦痛)
スピリチュアルペインについて、近代ホスピスの創始者であるシシリー・ソンダースは次のように言っている。
「死との対峙を余儀なくされたとき、多くの患者が自責の念あるいは罪の意識を持ち、自分自身の存在に価値がなくなったと感じ、ときには深い苦悶の中に陥っている。このことが、真に『スピリチュアルな痛み』と呼ぶべきものであり、それに対処する援助を必要としている」
・死生観に対する悩み
・死の恐怖
・人生の意味への問い
・価値観の変化
・苦しみの意味
・宗教への傾倒
4.疼痛コントロール
次は疼痛コントロール(投薬)について学んでいきます。
ついて学んでいきます。
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急性疼痛の対象の一つ、術後では、硬膜外麻酔や持続静脈注射などから局所麻酔薬やオピオイドが投与されることが多いと思います。また、一次的で突発的な疼痛にはNSAIDsのロピオンが使われたりします。術後早期には定期的にNSAIDsを使用する場合もあります。
疼痛コントロールは早期離床にとって重要です。
術後の流れをクリニカルパスなどで確認しながら、疼痛コントロールで早期離床を促しましょう。
WHO方式3段階除痛ラダーをご存知ですか?
鎮痛剤を段階的に使用して疼痛を緩和していく方法で、緩和領域で用いられます。
疼痛も様々ありますが、段階的に使用されることが多いので、ここに紹介します。
参考にしてみてください。
★WHO方式3段階除痛ラダー
WHOが1986年に第1版のガイドライン作成し、1996年に一部改訂された。がんの痛みからの開放のために、モルヒネ経口投与を中心とした、誰でもできることをめざした薬物療法である。
①第一段階—軽度の痛み
軽度の痛みには、非オピオイド鎮痛薬±鎮痛補助薬
★非オピオイド鎮痛薬
・NSAIDs:アスピリン類・アセトアミノフェン・イブプロフェン・インドメタシン
鎮痛補助薬
・カルバマゼピン(抗けいれん)
・バルプロ酸ナトリウム(高けいれん)
・塩酸リドカイン(局所麻酔薬)
・プレドニゾロン(ステロイド)
・デキサメタゾン(ステロイド)
・アミトリプリチン(抗うつ)
・イミプラミン(抗うつ)
・マプロチリン(抗うつ)
・プレガバリン(神経障害性疼痛緩和薬)
①で痛みの残存又は憎強がある場合にはプラス②へ
②第二段階---軽度から中等度の痛み
中等度の強さの麻薬性鎮痛薬±非オピオイド鎮痛薬±鎮痛補助薬
★軽度から中等度の麻薬性鎮痛薬(コデイン類)
・リン酸コデイン・オキシコドン・トラマドール
①②で痛みの残存又は憎強の場合はプラス③へ
③第三段階---中等度から強度の痛み
麻薬性鎮痛薬(モルヒネ類)±非オピオイド鎮痛薬±鎮痛補助薬
★中等度から強度の麻薬性鎮痛薬(モルヒネ類)
・モルヒネ・フェンタニル・オキシコドン・ブプレノルフィン
★投与経路は経口、座薬、貼付薬、注射薬(静脈、皮下)、舌下、口腔粘膜(バッカル錠)
5.急性疼痛の対象
・術直後、術後
・周産期
・侵襲を伴うような処置、治療
・外傷、骨折など急性期
・心筋梗塞、くも膜下出血、大動脈解離、消化器疾患など疾患の急性期・急性増悪
・疼痛の訴えがある
・疼痛を疑う所見がある(発汗、血圧変動、頻脈、苦悶様表情、不穏などのいつもと違う様子)
・疼痛を我慢しているような、いつもと違う様子がある(食欲不振、不眠、活動低下)
・疼痛を増強するような過度な恐怖がある。
6.目標立案
目標は患者さんを主語にして立てます。
・さまざまな疼痛・苦痛が緩和される。
・疼痛がコントロールされ、早期離床ができる。
・ADLの低下を来さず、従来通りの生活ができる。
・活動と睡眠のリズムが正常になる。
7.看護計画
1)観察計画《OP》
★本人に関すること
・年齢、性別
・疾患、治療内容、病期、症状
・バイタルサイン
・疼痛に伴う症状:頻脈、冷汗、徘徊、いらだち、苦悶様顔貌
・認知機能
・現在の疼痛コントロール
・鎮痛剤の種類、投与経路
・自己管理の有無
・鎮痛剤の副作用:便秘、嘔気嘔吐、呼吸困難、排尿障害、口渇、せん妄、痛覚異常、ミオクローヌス
・疼痛の内容
・疼痛の部位
・疼痛の程度:スケールを用いて評価
・どのように痛むか?
鋭く・鈍く・ズキズキ脈打つ・絶えず続く・焼け付く・うずく
・疼痛の持続時間
・痛みの増強因子(何をしたら痛くなる?)、安静時の痛み
・痛みが和らぐ姿勢や動作
・ADL(もともとのADLと現在のADL)
・精神状態(せん妄、昼夜逆転)
・不安(病気のこと、お金のこと、家族のこと、会社のことなど)
・睡眠ー活動のバランス
★硬膜外麻酔による持続鎮痛★
・バイタルサイン(呼吸、発熱)
・刺入部
・抜けていないか(挿入長)
・出血
・感染兆候(発赤・腫脹・熱感・疼痛)
・硬結、血腫
・固定(背部にしっかり固定されているか、固定テープが汚染していないか)
・感覚麻痺、運動障害
・残量の確認と記録、回路の確認(コネクターが緩んでいないか、屈曲していないか)
・鎮痛コントロールの程度:NRS、フェイススケールなど
・PCA回路
・排尿障害(特に前立腺肥大のある男性)
★持続静脈点滴による持続鎮痛★
・バイタルサイン(呼吸、発熱)
・刺入部
・抜けていないか(挿入長)
・出血
・感染兆候(発赤・腫脹・熱感・疼痛)
・固定(固定テープが汚染していないか)
・感覚麻痺、運動障害
・残量の確認と記録、回路の確認(コネクターが緩んでいないか、屈曲していないか)
・鎮痛コントロールの程度:NRS、フェイススケールなど
・輸液ポンプを使用している場合は設定確認
・PCA設定(ロックアウトタイム、ドーズ量)
・PCA使用状況確認(ドーズ回数、ドーズ有効回数)
・PCA回路
・排尿障害(特に前立腺肥大のある男性)
★周産期★
・経膣分娩、会陰切開創(トラブルはないか)
・帝王切開
・産後の後陣痛
・精神状態
・児への関心、愛着
★その他:疼痛を増強する要因★
・恐怖
・不安(疾病に関すること、退院後のこと、一人でいた時に起きたら、経済的なことなど)
2)行動計画《TP》
・疼痛の程度を観察し記録する。
・患者の求め(疼痛症状)に応じて適宜鎮痛薬を投与する。
・(侵襲的な処置の後)創部を清潔に保ち、感染を予防する。(ガーゼの交換、被覆材の汚染の確認など)
・持続静注や硬膜外麻酔をしている場合には、刺入部が清潔に保たれているか観察し、汚染があれば被覆材を交換する。
・環境を整備し、管類の抜去を予防する。
・離床の介助をする。(初回の離床時は、バイタルサインや自覚症状、表情などに特に注意する)
・リハビリ・離床前など、活動15~30分前に鎮痛薬を投与する。
・疼痛を緩和する方法を取り入れる(医師に許可を得ること)
・温罨法
・冷罨法
・マッサージ
・生活リハビリ
・音楽療法
・傾聴し、不安の原因となっていることを聞き取る。
不安の原因にソーシャルワーカーなどの介入が必要なものがあれば、介入依頼をする。
・嘔気に対する臭気への配慮を行う。
・嘔吐のある場合には側臥位で顔を横に向け、誤嚥しないようにする。
・呼吸抑制のある場合には医師へ報告する。
・便秘には緩下剤など指示に従って対処する。
・持続静注や硬膜外麻酔を行っている場合には、PCA回路が適切に使用できているか確認する。
・気分転換活動を取り入れる。
・掻痒を伴う場合には、医師へ報告する。
・昼夜逆転になっている場合には、日中の活動を増やす。
(活動休息のバランスを整える)
・せん妄がある場合には、ナースステーションから近い部屋に移動をするなど、目が行き届くように配慮する。
・排尿障害の悪化がある場合には医師へ報告する。
3)教育計画《EP》
・痛みがある場合には我慢せずにナースコールをするように説明する。
・痛み以外の不快症状があればナースコールをするように説明する。
・点滴、硬膜外チューブ、ドレーン、バルンカテーテル、酸素などの管類の管理について説明する。
・早期離床のメリットについて説明する。
・咳嗽に伴う疼痛には、創部をガーゼの上から抑えて咳嗽をすると少し緩和されると説明する。
・PCA回路について説明する。何回押してもいいです(何回押しても、一定間隔があかないと実際には投与されないため)。
・動作に伴う疼痛がある場合には、動作をする15~30分前に鎮痛剤を飲めることを説明する。
鎮痛剤も間隔を開けなくてはならない場合もあるため、医師の指示に従う。
・社会的苦痛など、ソーシャルワーカーの介入が必要な場合は、ソーシャルワーカーの介入を依頼する。
・不安に思っていることは抱え込まず、相談していいことを説明する。
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