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高齢者虚弱シンドローム(看護計画)
いつもご覧いただきありがとうございます。
今回は高齢者虚弱シンドロームについて考えていきます。
高齢者虚弱シンドロームでは、加齢変化や疾患、社会的な役割の変化などにより機能低下をきたしている場合に介入します。
まず高齢者についてのおさらいをしていきましょう。
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1.高齢者の特徴
1)高齢者の定義
65歳以上の方を高齢者とする。
2019年総人口は1億2617万人(前年より26万人減)。65歳以上の高齢者人口は、3588万人と、前年に比べ32万人増加。総人口に占める割合は28.4%。
高齢者人口の割合の今後の予想は、2025年に30%、2040年に40%となっている。
2)高齢者の形態機能的特徴
公益財団法人長寿科学振興財団HPより引用させていただいています。高齢者の身体的特徴 | 健康長寿ネット (tyojyu.or.jp)
高齢者は加齢に伴い、身体の各器官を構成している細胞数の減少や細胞そのものの働きが低下することで生理的老化が進行します。生理的老化の進行によって臓器機能の低下や恒常性維持機能の低下、病気の併存などの身体的特徴がみられます。
2020年の高齢社会白書で65歳以上の介護が必要になった主な原因をみると認知症、脳血管疾患に続いて高齢による衰弱(フレイル)(13.8%)が3番目に多くなっています。また、骨折・転倒(12.5%)や関節疾患(10.2%)もサルコペニアやフレイルと密接に関連している原因です。

2.高齢者の身体機能スクリーニング
厚生労働省「介護保険サービスにおける質の評価に関する調査研究事業」より引用。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000051771.pdf
ここで紹介されているのは、在宅(家、施設、通所)での高齢者のスクリーニングだが、広範囲NANDAの看護診断のように領域別に細かくスクリーニングできるようになっており、客観的に問題点を抽出できる。そのためより利用者にあった援助を行うことができる。
スクリーニングの方法だけでも13個もある。
在宅で使用されているスクリーニング法で最も多いのが「居宅サービス計画ガイドライン(★1)」で27%、次に多いのがMDS-HC方式で20%となっている。
サービス別では、施設サービスで包括的自立支援プログラム方式を採用している施設が多い。
居宅介護支援事業所では居宅サービス計画ガイドライン方式を採用している事業所が多い。
介護老人保健施設では R4 を採用している施設が多い。
それぞれに、「認知」「コミュニケーション」「視覚」「気分/行動」「心理社会面」「身体機能(運動活動)」「排泄」「疾患」「転倒」「嗜好」「栄養状態」「皮膚/褥瘡」「薬剤」「治療」「ケアプログラム(診察、リハビリ、健診)」「身体抑制」「意思決定」「支援状況、介助」「生活環境」など、生活環境から個人の身体状況まで幅広くスクリーニングでき、支援の必要な問題点が抽出できるようになっている。
★1 居宅サービス計画ガイドライン方式
全国社会福祉協議会のHPに居宅サービス計画ガイドライン方式の様式があります。
気になる方はアクセスしてみて下さい。
HP↓
https://www.shakyo.or.jp/download/careplanGL/index.html#:~:text=%E6%9C%AC%E6%9B%B8%E4%B8%AD%E3%81%AE%E8%AB%B8%E6%A7%98%E5%BC%8F%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%A1%E3%80%81%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E6%A7%98%E5%BC%8F%E3%81%AF%E4%BB%A5%E4%B8%8B%E3%82%88%E3%82%8A%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
様式↓
https://www.shakyo.or.jp/download/careplanGL/assess.pdf
3.高齢者虚弱シンドロームの適応
・年齢70歳以上
・長期入院、繰り返す入退院
・侵襲の高い治療、安静期間を長く要する治療
・転倒転落の既往・歩行障害
・認知力低下・記憶障害
・栄養摂取消費バランス異常:必要量以下、食欲不振
・心拍出量減少
・活動耐性低下・サルコペニア
・セルフケア不足・ADL低下・寝たきり
・寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)(✩2)
・認知症高齢者の日常生活自立度(✩3)
・身体可動性障害
・消耗性疲労
・絶望感・精神的不安定・死への不安
・社会的孤立・一人暮らし
・経済的困窮
✩2.寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)
厚生労働省HPより0000077382.pdf (mhlw.go.jp)

✩3.認知症高齢者の日常生活自立度
厚生労働省HPより0000077382.pdf (mhlw.go.jp)

4.目標
目標は患者さんを主語にして立てます。
・自身のADLや機能に応じた生活環境を整備できる。
・生活リハビリを取り入れてADLを維持できる。
・疾患管理に必要な治療を継続できる。
看護師を主語にする場合にはつぎのようになるとおもいます。
・身体機能をスクリーニングし、機能に合わせた環境整備や介助を行うことで、ADLの維持向上を図る。
・他職種で連携し、在宅でも安全に過ごせる環境を整備する。
・本人、家族に現状の身体機能を理解してもらい、安全な療養生活が送れるよう支援する。
5.看護計画
1)観察計画《OP》
スクリーニングで抽出した問題点に対して介入する。
・年齢・性別
・疾患・ステージ
・バイタルサイン(平時、治療前後、ケア前後)
・家族構成
・療養環境・退院後の生活環境(バリアフリー、手すり)
・使用している自助具、歩行補助具
・認知力(長谷川式20点以下、MMSE21点以下)せん妄歴
・転倒転落歴、筋肉量
・挿入物(点滴、バルンカテーテル、胃瘻、経鼻胃管、ドレーンなど)
・抑制の使用
・入院の目的(手術、抗がん剤、肺炎など治療計画から見る入院期間の予測)
・侵襲の大きい治療、長期間安静臥床を要する治療
・食形態、食事摂取量、嚥下障害、誤嚥性肺炎の既往
・ADLの程度、関節可動域、体位の保持
・介助の必要量(自立、一部介助、全介助)
・内服薬の内容、量
・排尿パターン、尿路感染の既往
・排便パターン、下痢、便秘
・難聴(指示が入りにくい)
・老眼、視力低下、羞明、視野狭窄(安全確認が十分できない)
・疼痛
・精神的な落ち込み、抑うつ
・昼夜逆転
・リハビリの介入内容、進行状況
・現在の要介護度、医療保険別表7.8の該当、障害者手帳の保持、生活保護の受給
・ソーシャルワーカーの介入の有無
・退院を見据えた介入の有無
2)行動計画《TP》
・安全な療養環境の整備を行う。
・ナースコールを手の届くところにセッティングする。
・医師の安静度の指示に従い、日中の活動量が上がるようにケア計画を立てる。
・歩行状態や体格にあった衣服や靴を選択する。
・麻痺や突進歩行など歩行に障害がある場合には、適切に歩行補助具を使用して介助する。
・夜間はポータブルトイレでも、日中はトイレまで移動する機会を作るなどの活動量が増加する工夫をする。
・リハビリ職と情報交換をし、リハビリの進行に合わせた生活介助を行う。
・介助中は呼吸状態や顔色、歩行状態を観察し、無理のないように行う。途中で椅子を準備しておく、車椅子を一緒に持っていくなど。
・聴覚障害がある場合には、聴力に合わせた声掛けを行う。
・視覚障害がある場合には、物の配置を工夫する。
・不穏やせん妄のリスクが高い場合には、ナースステーションに近い部屋とし、必要時にはセンサーマットなどの抑制も検討する。
・嚥下障害のある場合には、STと連携し、誤嚥を防ぐための介入を行う。嚥下体操、アイスマッサージ、食形態の工夫、体位の工夫、介助方法の工夫。
・温度の感覚が鈍くなっていることを考え、湯たんぽなどを使用する際には、皮膚に触れないようにセッティングする。
・拒薬がある場合には、服薬ゼリーを使用するなどの工夫を行う。
・心機能の異常がある場合には、活動時や入浴時の表情や訴えに注意し介助する。
・呼吸機能の異常がある場合には、活動時や入浴時の呼吸苦に注意し、必要時は酸素投与を行う。
・関節痛や腰痛など、疼痛のある場合には、温罨法や鎮痛薬などを使用する。
・水分摂取を勧める。
3)教育計画《EP》
〈入院中〉
・介助が必要な方は、一人では動かず、必ずナースコールを押してもらうように説明する。
・痛み・呼吸苦・不眠などの不快症状は、知らせてくれるようにお願いする。
・転倒の防止について説明する。
・運動で呼吸が苦しい、痛みがある、動悸がするなどのつらい症状が発現したらナースコールで知らせるよう説明する。
・栄養と水分の摂取の必要性について説明する。
・困ったときはナースコールを押してもらうようお願いする。
〈退院後・在宅にむけて〉
・退院後の生活環境について説明する。
・退院後の解除方法について本人・家族に説明する。
・生活リハビリについて説明する。
・感染対策にマスク着用と手洗いをすすめる。
・栄養と水分の摂取の必要性について説明する。
・夏場、屋内でも熱中症となるリスクがあるので、エアコンを使用するように勧める。(我慢で熱中症になったら余計に高くつく)
・治療の継続についてお話しする(内服など)。
・いつもと違うという自覚症状がある場合には、病院を受診するよう説明する。


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