領域11 安全/防御
危険性や身体損傷や免疫系の損傷がないこと、損失の予防、安全と安心の保障
類2 身体損傷
肉体的危害や傷

00306 小児転倒転落リスク状態


看護診断:小児転倒転落リスク状態
定義:小児がうっかりして、地面や床などの低い高さのところに着地する事故を経験しやすく、健康を損なうおそれのある状態

いつもご覧頂きありがとうございます(*゚▽゚*)
これまでは「転倒転落リスク状態」の一つの診断で成人も小児も立案していましたね。
2021年版では、成人と小児が別々に掲載されています。
小児の場合は自分で危機管理をすることは困難です(出来る子もいると思いますが)から、保護者や介護者の危機管理能力が問われますね。
主に環境の整備や、保護者の知識習得が重要になってきます。
では、小児の転倒転落について考えていきましょう。

1.「小児」の定義


「小児」とは何歳までかご存知ですか?
子を表現する言葉は「小児」の他にも「子供」「児童」「学童」「小人」「幼児」などがありますね。
それぞれ法律や立場によって定義が異なっていますので、見てみましょう。

①医療法における「小児」の定義
「医療法施行規則第十六条第一項第四号に規定する「小児」とは通常小児科において診療を受ける者をいうのであって、具体的に何歳から何歳までと限定することは困難である」とされているため、明確な年齢は示されていない。
厚生労働省通達を部分引用
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta0783&dataType=1&pageNo=1

②児童福祉法による「児童」の定義
※児童福祉法には小児の定義は記載されていない
「児童福祉法第四条
一 乳児 満一歳に満たない者
二 幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
三 少年 小学校就学の始期から、満十八歳に達するまで」
「第六条の二 この法律で、小児慢性特定疾病とは、児童又は児童以外の満二十歳に満たない者(以下「児童等」という。)が当該疾病にかかつていることにより、長期にわたり療養を必要とし、及びその生命に危険が及ぶおそれがあるものであつて、療養のために多額の費用を要するものとして厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聴いて定める疾病をいう。」
児童福祉法では、児童は18歳までとしているが、小児慢性特定疾病に罹患しているものは20歳までを対象としている。

2022.2民法の改正により、2022.4から大人の定義が変わる(140年ぶり)。
2022.4施行となる改正民法では、成人となる年齢が20歳から18歳に引き下げられ、女性が結婚できる年齢はこれまでの16歳から男性と同じ18歳に引き上げられる。

③栗山博士の学説
「学説(栗山博士)
小児とは出生から春機発動期(思春期)までをいう。
女児では、十四、五歳 男児では十六、七歳までをいう。」
思春期までを小児としている。

④日本医師会の蘇生における小児
救急蘇生では、大人、小児、乳児で心臓マッサージの仕方が異なりますね。
ここでの定義によりますと
乳児を1歳未満
小児を1歳以上16歳未満(目安としては中学生までを含む)
としています。

⑤旅客及び荷物運送規則第九条による定義
「旅客及び荷物運送規則第九条
乳児 一歳未満
幼児 一歳から六歳未満
小児 六歳から十二歳未満」
運賃は「大人」に対して「小人や子ども」と表示されていますね。
運賃は中学生から大人料金です。

このように「小児」「子供」の定義ははっきりしていません。
①の医療法では「小児科で診療を受けるもの」としており、日本医師会の救急蘇生法上では16歳未満を小児と紹介しています。
このことから、だいたい中学生までを小児の対象と考えて良いと思います。

 

2.小児転倒転落リスク状態の対象


1)小児自身のリスク

・発達上の問題:月齢・年齢に相応の理解力でない
・成長上の問題:成長発達に影響する疾患、筋骨格系の成長障害、内分泌障害、心血管系疾患、神経系疾患
→姿勢の維持や運動に対して十分な発達でない。
・栄養不良
・適応障害、知的障害
・意識障害(脱水、高血糖、低血糖など)
・環境変化への適応、分離不安
・治療:点滴、酸素などのルート類の使用
・衣服の選択:自分で選べる年齢の小児が適切な衣服を選べない(運動する日に長いスカートなど)
・ヤングケアラー:役割が多く疲労、栄養面でも不安
・心身のバランス:人間関係の不安などで不眠が続くなど、体力回復に不十分な要因がある。
・労働力とされている小児

 

2)保護者由来のリスク

・保護者の低年齢、低学歴:保育、育児に対する知識と技術が十分でない。判断が十分でない。
・産後うつ病:安全への配慮ができない
・母子愛着不形成:安全への配慮ができない
・育児環境(乳幼児):ベッド周囲、柵、階段、チャイルドシート、歩行器の不適切な使用
・育児環境(乳幼児):月齢・年齢に見合わない玩具の使用
・育児環境(学童):通学路、自宅の環境、階段、段差

 

3.リンケージによる目標設定

 ※「リンケージ」は「NANDA」「NIC」「NOC」をつなぐ役割があります(リンクは「連結」の意味)。

1)リンケージ上の成果

 ・身体バランス(0202)

 (定義:体の平衡を保持できること)

 ・協調運動:(0212)

 (定義:目的とする運動のために筋肉を随意に一緒に動かす能力)

 ・転倒転落予防行動(1909)

 (定義:身の回りの環境で転倒を引き起こす危険因子を最小にするための患者または介護者の行動)

 ・転倒の頻度(1912)

 (定義:過去の転倒回数)

 ・知識・転倒予防行動(1828)

 (定義:転倒予防について示す理解の程度)

 

2)目標

目標は、患者さんを「主語」にします。
「看護者が○○できる」ではなく、
「患者さんが○○できるようになる」といった具合です。

・養育者は、転倒を起こしにくい環境について述べることができ、転倒しないことに配慮した環境整備ができる。

・養育者は、転倒を起こしにくい衣服や履物を選択し着用させることができる。

・発達レベルに応じた、転倒を避けるための知識について述べることができ、活動に応じた衣服や履物を選択することができる。

・発達に必要な栄養を摂取できる。

・治療用のルート類に気を付けて療養生活を送り、転倒することがなく過ごすことができる。

※看護師の目標としては以下のようなものが挙げられると思います。

成長発達に合わせた療養環境の整備ができる。

転倒転落を防ぐ。

4.看護計画

1》観察計画 OP

1)小児自身のリスク

・月齢・年齢
・成長発達に影響する疾患、筋骨格系の成長障害、内分泌障害、心血管系疾患、神経系疾患
・栄養不良
・適応障害、知的障害
・意識障害(脱水、高血糖、低血糖など)
・環境変化への適応、分離不安
・治療:点滴、酸素などのルート類の使用
・衣服の選択:自分で選べる年齢の小児が適切な衣服を選べない(運動する日に長いスカートなど)
・ヤングケアラー:役割が多く疲労、栄養面でも不安
・心身のバランス:人間関係の不安などで不眠が続くなど、体力回復に不十分な要因がある。
・労働力とされている小児

2)保護者由来のリスク

・保護者の低年齢、低学歴:保育、育児に対する知識と技術が十分でない。判断が十分でない。
・保護者の生育歴:虐待を受けていた過去
・産後うつ病:安全への配慮ができない
・保護者の精神状態
・保護者の身体状況:健康状態、睡眠、食事、依存(薬物、アルコール)
・保護者の育児に対する向き合い方:ネグレクト、友人関係
・母子愛着不形成:安全への配慮ができない
・育児環境(乳幼児):ベッド周囲、柵、階段、チャイルドシート、歩行器の不適切な使用
・育児環境(乳幼児):月齢・年齢に見合わない玩具の使用
・育児環境(学童):通学路、自宅の環境、階段、段差

  

2》行動計画 TP

①環境の整備をする


・育児環境(乳幼児)
 ・柵
 ・階段
 ・チャイルドシート
 ・ベッド周囲
 ・歩行器
 ・床
 ・マットレスの固定
 ・母子分離不安に対する配慮をする。馴染みのものを置く、面会時間を設ける。

・育児環境(乳幼児)
 ・月齢・年齢に見合った玩具かどうか
・育児環境(学童):通学路、自宅の環境、階段、段差
 ・通学路
 ・遊具

・環境整備:ナースコールを手の届く場所に置く。

・昼夜逆転を防ぐため、日中の活動を取り入れる。

・リハビリの進行状況に応じた介助を行う。

・リハビリの進行状況は理学療法士、作業療法士と情報共有をし、安全な介助ができるようにする。

・睡眠導入剤の効果が強く転倒リスクが高いと判断したら医師へ上申する。

・術後などのせん妄が起こりうる場合は(高齢・広範囲手術・長時間手術・せん妄の既往など)、ナースステーションに近い部屋へ移動しておく。

・せん妄などの外傷リスクが高い場合は、頻回に訪室し、安全確認を行う。

・治療計画に沿った疾患の管理を行う。

・治療計画を守りながら、安全に活動できるように介助する。

・産後うつ病に対する支援する。

・育児環境を維持するため、ソーシャルワーカー、地域の支援と橋渡しをする。

 

3》教育計画 EP

・本人・介助者に環境整備方法を具体的に説明する。(整理整頓、ベッドの高さ、明るさなど)

・適した履物や衣服を選択するように説明する。

・治療計画について理解度を確認し、不足分は説明する。

・安静度の指示や、リハビリの進行に合わせた活動を行う。

・不安があればなんでも言ってもらうように説明する。(一人で抱え込まない、我慢しない)

・痛みなどの症状がある場合には、無理をしないように説明する。

・ナースコールの必要性を説明する。

・保護者・介護者に、困ったときには、ソーシャルワーカーや地域支援に相談するように伝える。

 

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。また、以下の看護診断も参考にしてみてください。

参照文献
T.ヘザー・ハードマン、上鶴重美、カミラ・タカオ・ロペス. (2021年7月1日). NANDA-I看護診断ー定義と分類 2021-2023 原書第12版. 株式会社 医学書院.

T.ヘザー・ハードマン 上鶴重美. (2016). NANDA-I 看護診断 定義と分類 2015-2017. 医学書院.
岡庭豊. (2012). 看護師・看護学生のためのレビューブック. 株式会社 メディックメデイア.
岡庭豊. (2019.3). イヤーノート2020. 株式会社メディックメディア.
黒田裕子(訳). (2015). 看護成果分類(NOC)原著第5版 成果測定のための指標・測定尺度. エルゼビア・ジャパン株式会社.
山口徹 北原光夫 福井次矢. (2012). 今日の治療指針.
山内豊明. (日付不明). フィジカルアセスメントガイドブック. 医学書院.
青柳智和. (2018). 洞察力で見抜く急変予兆~磨け!アセスメントスキル~. 株式会社ラプタープロジェクト.
大橋優美子 吉野肇一 相川直樹 菅原スミ. (2008). 看護学学習辞典(第3版). 株式会社 学習研究社(学研).

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投稿者 FlorenceMYM

「NANDA-00306 看護計画 小児転倒転落リスク状態」に5件のコメントがあります

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