領域7 役割関係
人々または人々のグループ間の肯定的および否定的なつながりやつきあい、またそうしたつながりが示される手段
類1 介護役割  医療専門家ではないケアの提供者が社会から期待される行動パターン


00164 ペアレンティング促進準備状態


看護診断:ペアレンティング促進準備状態
定義:主たる養育者が、一貫した共感的な権限の行使と子どものニーズに応じた適切な行動で、子供に最適な成長と発達をはぐくみ、守り、促すパターンが、さらに強化可能な状態

いつもご覧いただきありがとうございます。
今回は「ペアレンティング促進準備状態」です。
促進準備状態は、親が育児に対する「意欲がある」場合に対象になります。
では、初めに「ペアレンティング」について理解を深めていきましょう。

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1.ペアレンティングとは


「parenting」はペアレントの動名詞(動詞にingをつけて名詞的に使用すること)です。
「parent(ペアレント)」という単語は「両親」という名詞と、「育児をする」という動詞の2つの役割があります。
Parentの動詞を名詞的に使用してparentingとし「育児すること」と訳します。
つまりparentingは「育児をすること」ということになります。

ここでこの「ペアレンティング障害」の診断定義をもう一度見てみます
「主たる養育者が、一貫した共感的な権限の行使と子どものニーズに応じた適切な行動で、子供に適切な成長と発達をはぐくみ、守り、促す能力に限界のある状態」
定義からみると、この診断の対象は、以下のような場合が対象といえると思います。
・子供の養育に必要な愛情に欠ける
・子供の養育に十分な能力がない

では、次に効果的なペアレンティングに必要な愛着形成についておさらいしましょう。

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2.愛着形成とは

1)愛着理論(アタッチメント理論)

「やさびと心理学」さんのHPより引用させていただきます。
https://yasabito.com/1975
ボウルビーが提唱した「愛着(アタッチメント)理論」とは、「母親(養育者)の世話・養育を求める乳児の行動」のことです。
母親が主導ではなく、子供が母親に対して求める行動を愛着としています。

愛着行動には3種類あります。※1

子供は「愛着行動を通じて、養育者から安心感や愛護感を得られる」ことを学びます。
つまり、子供は愛着行動をすれば、親にかわいがってもらえることを知るということですね。
こうした子供からの愛着行動を、ボウルビーは「内的作業モデル」と呼びました。
この内的作業モデルは、母子の関係だけでなく、成長過程での人間関係を築く基礎ともなっていきます。

そもそもなぜボウルビーは愛着に着目したのか?
当時ボウルビィは、戦争孤児の「ホスピタリズム(施設症)」を研究していました。ホスピタリズムとは「施設で長期間生活することによって、発達上の問題が生じること」です。

ボウルビィは、この原因を「マターナルデプリベーション(母性剥奪)」だと考えました。つまり母性的な養育の欠如によって、身体的・精神的な症状が出ているとしたのです。

母親のはく奪→養育の欠如→身体的・精神的症状→施設症(施設での生活による発達上の問題発生)
という一連の流れがあると考えたわけですね。

※1 愛着行動の3種類

愛着行動のパターンを3つに分けています。そして子どもが成長して、内面的なアタッチメントが形成・発達すると、愛着行動は減っていくとしました。

発信行動:泣く・笑う・声を出すなど
定位行動 :目で追う・接近するなど
経済的身体接触行動:抱きつく・よじ登るなど

ここまでで「愛着」が赤ちゃんからの働きかけから始まり、親がそれに対応することで形成される信用だとわかりました。

愛着形成には「子供からのサイン」を親が適切にキャッチし、相互の反応によって形成されていくことがわかります。
では、相互の反応がうまくやり取りできない場合はどうなるでしょうか?
子供がサインを送れない、親がサインを受け取る気がない・興味がないなどの場合です。
そうした場合がペアレンティング障害につながっていきます。
ペアレンティング障害があると、虐待などのリスクが高まります。
ペアレンティング障害についても診断があります。以下の記事も参考にしてみてください。

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3.ペアレンティング促進準備状態の対象


・子供の養育方法について興味を示す
・子供の養育環境について興味を示す
・より良い情報を知ろうとする。
・児との時間を多く作っている。
・児をよく観察している。
・予防接種の手配を推奨される期間に行っている。
・障害のある児に対するケアを習得している。
・家族みんなが育児に対する興味を持っている。

4.目標設定

1)NOC・リンケージによる成果の選択

・家族の機能
・家族のノーマライゼーション
・家族の社会的風土
・ペアレンティング達成
・知識:ペアレンティング
・ペアレンティング達成:身体的安全

2)目標設定

目標は、患者さんを「主語」にします。
「看護者が○○できる」ではなく、
「患者さんが○○できるようになる」といった具合です。

・月齢・年齢に応じた身体的・精神的発達が得られる。
・育児に対して不安を解消し、安心して育児に臨むことができる。

5.看護計画


1)観察計画(OP)


(1)子供
・成長と発達
 ・身長、体重
 ・言葉を理解しているか
 ・月齢に応じた、落ち着き、態度、理解力、発言、運動であるか
・刺激に対する反応
 ・泣く、笑う、言葉を発するなど
・障害
・疾患

(2)親
・年齢
・理解力・児への関心
・児の兄弟の有無、児の兄弟の発達状況
・育児に対する姿勢
 ・児への愛情
 ・児とのコミュニケーション
 ・児が泣いているときの母親の反応
・育児に対する知識
 ・実際の育児の環境、育児の方法
・身体的疾患
・精神疾患
・知的障害
・性格(支配的・親のやり方を押し付けるタイプでないか)
・パートナーの有無
・パートナーとの関係、パートナーの育児への関心
・育児の環境:ワンオペ育児
・育児の協力者の有無

2)行動計画(TP)

・産褥期は、母親も休めるように配慮する。
・母乳育児を支援する。
・育児に対する不安を傾聴する。
・児とのスキンシップを推奨する。
 反応を言葉にして伝え、愛着形成を促す。

3)教育計画(EP)

・児の発達や予防接種の時期、検診の時期についてパンフレットなどを用いて説明する。
・不安を傾聴し、不安を共感する。
・親の頑張りを認め、ほめる。
・生活について(収入や教育)の不安があれば、ソーシャルワーカーを通じて、社会保障の活用を検討する。
・育児負担について不安があれば、ソーシャルワーカーを通じて、社会保障の活用を検討する。
・主の養育者以外にも上記の説明を一緒に聞いてもらい、皆で育児を行う環境を整える手助けをする。
・親、家族の強みが生かされるように情報を一緒に整理する。

参照文献

T.ヘザー・ハードマン 上鶴重美. (2016). NANDA-I 看護診断 定義と分類 2015-2017. 医学書院.
T.ヘザー・ハードマン、上鶴重美、カミラ・タカオ・ロペス. (2021年7月1日). NANDA-I看護診断ー定義と分類 2021-2023 原書第12版. 株式会社 医学書院.
リンダJ.カルペニート. (2014.1.1). 看護診断ハンドブック. 株式会社 医学書院.
岡庭豊. (2012). 看護師・看護学生のためのレビューブック. 株式会社 メディックメデイア.
岡庭豊. (2019.3). イヤーノート2020. 株式会社メディックメディア.
黒田裕子(訳). (2015). 看護成果分類(NOC)原著第5版 成果測定のための指標・測定尺度. エルゼビア・ジャパン株式会社.

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投稿者 FlorenceMYM

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