看護計画 領域7 役割/関係

NANDA-00159 看護計画 家族機能促進準備状態


領域7 役割関係
人々または人々のグループ間の肯定的および否定的なつながりやつきあい、またそうしたつながりが示される手段
類2 家族関係 生物学的に関連しているか自らの選択によって関連している人々のつながり

00159 家族機能促進準備状態


看護診断:家族機能促進準備状態
定義:家族メンバーのウェルビーイングを支える家族機能パターンが、さらに強化可能な状態

いつもご覧いただきありがとうございます。
今回の「家族機能促進準備状態」はウェルネス型診断ですね。
すでにやる気になっている家族のやる気を支えるための介入をしていきます。
「家族機能促進準備状態」では、すでに「家族機能」が十分に機能していて、さらに良くするために介入していくパターンです。たとえば、「もっと食事を健康なものにしたい」「悪化させないためにはどうしたらよいですか?」「運動はどのくらい行うといいですか?」などより良くする意欲がある状態です。家族が「家族機能を強化」する意欲があるパターンです。

類似の診断に「家族コーピング促進準備状態」という診断があります。

「家族コーピング」の促進準備状態とはどんな状態でしょうか?
家族コーピングとは、家族によるコーピングです。コーピングはストレッサーの対処する能力のことを言います。患者本人の力だけでは健康課題を解決できない場合、家族の力を借りて健康課題のクリアを目指していきます。
家族もやる気があって、コーピングができそうな場合が対象になります。

類似の診断に「家族機能促進準備状態」があります。こちらは、「家族機能を強化したい意欲がある場合」が対象となります。こちらの診断は「家族機能を回復・維持」していくことが目標となります。家族の中に解決する必要のある課題があってもなくても立案できます。

まとめると次のようになります。

①家族コーピング促進準備状態
解決する課題がある場合には「領域9 コーピング/ストレス 家族コーピング促進準備状態」が立案できます。
→ストレッサーにたいしてコーピング(対処)することを目標とする。

②家族機能促進準備状態
解決する課題がある場合もない場合もどちらにも立案できるのが「領域7 役割/関係 家族機能促進準備状態」です。
→家族機能を回復・維持することを目標とする。

では、家族機能とは何かから考えてみましょう。

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1.家族とは


Wikipediaを参照・部分引用しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E6%97%8F

1)定義

・二親とその子たちで、ひとまとまり(一つの単位)として一緒に暮らしているものたち(血縁・養子縁組など)の小規模な共同体
・共通の祖先をもつすべての人びと
・関連性のあるものごと(血縁、婚姻、情緒的つながり、婚姻以外のつながり)
・夫婦の配偶関係や親子・兄弟の血縁関係によって結ばれた親族関係を基礎にして成立する小集団

2₎家族の機能

上記のように、かつて家族は社会の基礎構成単位として広汎な機能を持っていたが、社会の発達による機能分化に伴って諸機能が外部化され、家族の機能は大幅に縮小しつつあります。一方で、生産機能は失ったものの生活共同体としての家族の機能は失われているわけではなく、また教育的機能についても学校などの外部教育機関で長期間の教育が不可欠となる一方、子育ては依然として家族の中心的機能の一つであるばかりか、一家族あたりの子供の数の減少に伴い、家族内での比重はむしろ増しつつあります。現代家族の機能については性的機能・生殖機能・教育的機能・経済的機能の4つに限定するものから、さらに縮小した機能を想定するものまでさまざまな理論が存在しています。

2.家族機能促進準備状態の対象


・家族機能の強化のための意欲を示している。
・家族の疾患や障害を受け入れている。
・医療・福祉関係者の説明に耳を傾け、関心を示している。
・生活の中に治療や介護を受け入れる意思を示している。
・家族機能の中の、各構成員の役割について話し合っている。コミュニケーションが良好である。
・地域社会との関係が良好である。

3.目標設定


1)NOC/リンケージによる評価の指標


・家族機能のレジリエンス(回復力)
・家族の機能
・家族の健康状態
・家族のコーピング
・家族の統合

2)目標設定

目標は、患者さんを「主語」にします。
「看護者が○○できる」ではなく、
「患者さんが○○できるようになる」といった具合です。

・受傷後・障害となっても家族機能が良好に維持される。
・家族が、生活の変化を受け入れ、家族機能を強化できる。
・疾患が、自己管理や家族による管理により、コントロールされる。
・在宅での疾患管理法を述べることができる。
・安心して在宅生活を送ることができると発言する。

4.看護計画


1)観察計画(OP)

・家族の構成員:人数、家族構成
・家族の年齢、性別、発達段階、ADL
・主介護者:年齢、認知機能、ADL、健康状態
・患者自身の自己管理能力
・家族の関係:良好か、コミュニケーションできているか
・家族構成員の役割分担
・家族構成員に対する思い、絆:お互いが大事にされていると感じる、大事にしている
・発病・受傷を機に、家族に出現した課題
 ・金銭問題、退職、転職、自宅での看護介護、医療的ケア
・課題に対する発言:建設的、前向きな発言
 ・課題に向き合う姿勢
 ・疾患の管理法についての理解:服薬、療養環境、生活習慣(食事、運動など)
 ・課題の対処が実現可能か
・社会資源の活用について
 ・福祉用具
 ・ケアマネジャーへの相談
・在宅生活に向けての知識技術の習得度

2)行動計画(TP)

・安全な療養環境を整備する。
・障害に合わせたケアをご本人さんや家族が理解できるように説明しながら行う。
・障害や疾患、管類によるセルフケア不足に対して、不足しているケアの介助を行う。
・不安や心配事を傾聴する。(安易にその場ではアドバイスはせず、医師や看護師と内容を共有し、最もよい情報を伝える)
・障害の受容プロセスを支える。
・家族にケアへ参加してもらい、その頑張りをたたえる。

3)教育計画

・安全な療養環境について説明する。
・在宅での自己管理法について説明する。
 ・服薬管理法
 ・管理の必要な処置
 ・増悪時の対処
・受診予約の入っている日に受診するよう説明する。
・社会資源の活用についてソーシャルワーカーから話してもらう。
・頑張りすぎず、不安があれば、いつでも打ち明けるようお話しする。
 在宅に帰ってからも、ケアマネジャーなどに相談するように助言する。
・在宅に帰ってから、自身のケアの方法に疑問や不安があれば、ケアマネジャーや訪問看護・訪問介護に質問するよう助言する。

参照文献

T.ヘザー・ハードマン 上鶴重美. (2016). NANDA-I 看護診断 定義と分類 2015-2017. 医学書院.
T.ヘザー・ハードマン、上鶴重美、カミラ・タカオ・ロペス. (2021年7月1日). NANDA-I看護診断ー定義と分類 2021-2023 原書第12版. 株式会社 医学書院.
リンダJ.カルペニート. (2014.1.1). 看護診断ハンドブック. 株式会社 医学書院.
岡庭豊. (2012). 看護師・看護学生のためのレビューブック. 株式会社 メディックメデイア.
岡庭豊. (2019.3). イヤーノート2020. 株式会社メディックメディア.
黒田裕子(訳). (2015). 看護成果分類(NOC)原著第5版 成果測定のための指標・測定尺度. エルゼビア・ジャパン株式会社.

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投稿者

florence.no.tomoshibi@gmail.com

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