
NANDA-00060 看護計画 家族機能中断
NANDA-00060 看護計画 家族機能中断
領域7 役割関係
人々または人々のグループ間の肯定的および否定的なつながりやつきあい、またそうしたつながりが示される手段
類2 家族関係 生物学的に関連しているか自らの選択によって関連している人々のつながり
目次
00060 家族機能破綻→家族機能中断
看護診断:家族機能中断
定義:家族機能の連続性が途切れ、家族メンバーのウェルビーイングを支えることができない状態
いつもご覧いただきありがとうございます。
今回の「家族機能中断」は、以前には「家族機能破綻」という診断でした。
以前の定義も参考までに紹介します。
家族機能破綻の定義:「家族関係と家族機能の、両方またはいずれか一方の変化した状態」
いずれにしてもキーワードは「家族機能」です。
家族機能とは何でしょうか?家族機能について考えてみましょう。
お急ぎの方はこちらのジャンプからどうぞ
・この計画の対象者から見る方はこちら
・この計画の目標から見る方はこちら
・この計画の計画から見る方はこちら
1.家族とは
Wikipediaを参照・部分引用しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E6%97%8F
1)定義
・二親とその子たちで、ひとまとまり(一つの単位)として一緒に暮らしているものたち(血縁・養子縁組など)の小規模な共同体
・共通の祖先をもつすべての人びと
・関連性のあるものごと(血縁、婚姻、情緒的つながり、婚姻以外のつながり)
・夫婦の配偶関係や親子・兄弟の血縁関係によって結ばれた親族関係を基礎にして成立する小集団
2₎家族の機能
上記のように、かつて家族は社会の基礎構成単位として広汎な機能を持っていたが、社会の発達による機能分化に伴って諸機能が外部化され、家族の機能は大幅に縮小しつつあります。一方で、生産機能は失ったものの生活共同体としての家族の機能は失われているわけではなく、また教育的機能についても学校などの外部教育機関で長期間の教育が不可欠となる一方、子育ては依然として家族の中心的機能の一つであるばかりか、一家族あたりの子供の数の減少に伴い、家族内での比重はむしろ増しつつあります。現代家族の機能については性的機能・生殖機能・教育的機能・経済的機能の4つに限定するものから、さらに縮小した機能を想定するものまでさまざまな理論が存在しています。

家族システム論 (family systems theory) 家族を1つのまとまりをもつ生命系としてとらえる理論です。
三重大学の「家族システム理論と夫婦関係」という記事では冒頭に以下のような記載がなされています。
https://educational-psychology.edu.mie-u.ac.jp/thesis/2016/sassa/fam.html
「家族システム理論において夫婦の連合の強さは,家族のコミュニケーション及び凝集性に影響を与えることにより,家族の健康性及び子どもの発達や適応,更には精神的健康においてに何らかの影響を及ぼす重要な指標となりうる。」
夫婦関係が、家族の心身の健康や、子供の成長発達に良くも悪くも影響するということですね。
「健康」「精神的健康」「発達」「適応」というのは一時的なかかわりで築けるものではありません。夫婦関係によって、家族の不和があり、十分な愛情を注がれない・十分な養育を受けられない場合、子供へ発達や適応にどのような影響をきたすでしょうか?
その子は「十分に成長しない」「人への接し方がわからない」「学習に集中できない」「信用できる人がいない」など、生きるために必要な力を身に着けられずに大人になってしまうかもしれません。そうなると、人生そのものに影響をきたすことになりますね。
また、子供に限らず、大人も同じことです。夫が病気になって障害を負ってしまった場合どうでしょう?収入は減り、自身でできなくなってしまった夫の世話もしなくてはならなくなり、育児家事もすべてが妻の仕事になってしまうこともあり得ると思います。これまでは何不自由なく生活をしていても、夫の受傷を機に生活に制限をせざるを得ない、進学もあきらめなくてはならないかもしれない、など構成員の状態によって、他の構成員の生活にも影響をきたしていきます。
では、家族機能が中断してしまう状況について考えてみましょう。
お急ぎの方はこちらのジャンプからどうぞ
・この計画の目標から見る方はこちら
・この計画の計画から見る方はこちら
2.家族機能中断の対象
・役割の変化
・収入の減少
・退職
・年金
・出費の増加
・医療費(入院、通院、治療費)
・自宅改装費
・進学、入学、別居(学生マンションに入るなど)
・家族の健康問題
・発病(身体、精神)
・病気の増悪、コントロール不良
・医療的ケアや在宅ケア(点滴、経管栄養、吸引、人工呼吸器、腹膜透析、ストマ管理、自己導尿など)
・ADL低下
・性的機能の喪失
・家族の介護、看護
・家族の役割の増加
・ヤングケアラー(学業と家事、育児などとの両立)
・仕事をしながら、家事や介護・看護を行う
・家族構成の変化
・構成員の増加(出産、里帰り、離婚で戻ってくる、養子縁組)
・構成員の減少(入院、施設への入所、出張、他界)
・里親を引き受ける
・ペットの迎え入れ、喪失
・考え方の変化
・別居
・発達段階
・思春期
・受験期
・就職期
・入学、卒業
・環境変化
・リストラ
・配置換え
・近所との関係
・町内会、子供会、PTAへの参加
・人間関係
・職場
・学校
・先生、上司
・家の考え方
・家父長制
・家父長制による特定の家族への負担(家のことは母が全部やっています)
・近所づきあいのありかた
・家のあり方(本家だから、分家への手配がある、、などという特有の役割)
・宗教による教えの徹底や子供への強要
・コーピングの問題
・暴力
・薬物、アルコールなどの依存
・家族構成員の収監
3.目標設定
1)NOC/リンケージによる成果の指標
・家族機能のレジリエンス(回復力)
・家族の機能
・家族のノーマライゼーション
・患者の在宅医療施設入所に対する介護者の適応
・在宅療養における介護者の準備
・家族のコーピング
・家族の社会的風土
・社会相互作用のスキル
・治療中の家族支援
2)目標設定
目標は、患者さんを「主語」にします。
「看護者が○○できる」ではなく、
「患者さんが○○できるようになる」といった具合です。
・自身の悲嘆を家族内で表出できる。家族間で共有できる。
・家族の課題を共有し、話し合うことができる。
・新たな役割に適応できる。
・家族の構成員が役割を分担できる。
4.看護計画
1)観察項目(OP)
★これらについて情報収集をします。要因の発生した時期・持続期間・変化の程度・誰に・誰が・どこで・どのくらいの影響か、を把握し、どこからアプローチするかを考えます。
・役割の変化
・収入の減少
・退職
・年金
・出費の増加
・医療費(入院、通院、治療費)
・自宅改装費
・進学、入学、別居(学生マンションに入るなど)
・家族の健康問題
・発病(身体、精神)
・病気の増悪、コントロール不良
・医療的ケアや在宅ケア(点滴、経管栄養、吸引、人工呼吸器、腹膜透析、ストマ管理、自己導尿など)
・ADL低下
・性的機能の喪失
・家族の介護、看護
・家族の役割の増加
・ヤングケアラー(学業と家事、育児などとの両立)
・仕事をしながら、家事や介護・看護を行う
・家族構成の変化
・構成員の増加(出産、里帰り、離婚で戻ってくる、養子縁組)
・構成員の減少(入院、施設への入所、出張、他界)
・里親を引き受ける
・ペットの迎え入れ、喪失
・考え方の変化
・別居
・発達段階
・思春期
・受験期
・就職期
・入学、卒業
・環境変化
・リストラ
・配置換え
・近所との関係
・町内会、子供会、PTAへの参加
・人間関係
・職場
・学校
・先生、上司
・家の考え方
・家父長制
・家父長制による特定の家族への負担(家のことは母が全部やっています)
・近所づきあいのありかた
・家のあり方(本家だから、分家への手配がある、、などという特有の役割)
・宗教による教えの徹底や子供への強要
・コーピングの問題
・暴力
・薬物、アルコールなどの依存
・家族構成員の収監
2)行動計画(TP)
・情報の聴取、感情の表出のために落ち着いた場所で傾聴をする。
アドバイスは控え、事実のみを共感的姿勢で聴取する。聴取内容は、メモを取り記録する。
他の家族の構成員からも話を傾聴し、事実を把握する。
(構成員によってとらえ方に違いがある場合や、思い込みや過大解釈をしている場合があり、そうしたバイアスの傾向をとらえ、正確に事実を把握していく)
・収集した情報を主治医やソーシャルワーカーなどと共有し、対策を考える。
・不足しているセルフケアに対して、補完的なケアを行う。
・疲弊している場合には、ゆっくり休養できる療養環境を整える。
・障害、慢性疾患となったために、自身での医療的ケアが必要となった場合(ストマ、酸素管理、自己導尿、自己血糖測定、インスリン投与、低血糖対処、エピペンの所持など)、技術習得のための指導を行う。
※できたらパンフレットなどを準備してお話し・実演する。人間は忘れますから。
・障害、慢性疾患となったために、患者自身での医療的ケアが必要となった場合(ストマ、酸素管理、自己導尿、自己血糖測定、インスリン投与、低血糖対処、エピペンの所持など)、ご家族にも同様に技術習得のための指導を行う。
・自宅で家族が介護をする場合、介護技術習得のための指導を行う。
・ご自宅で家族が医療的ケア(吸引、栄養、人工呼吸器管理)を行う場合、技術習得のための指導を行う。
・喪失(家族やペット)の悲嘆を受け止め、見守る。
3)教育計画(EP)
・フォーマル・インフォーマルな支援が受けられるようにソーシャルワーカーに相談してもらう。
訪問サービス、福祉用具など市町村によって手続きが異なる場合がある。
・慢性疾患・障害・麻痺の生活上の注意について、本人と家族に説明する。
・定期診察日には受診するように説明する。
・血圧や血糖など、毎日記録するように指示が出ているものに対しての説明を行う。
・服薬は指示どおりの用法用量を守るように説明する。飲み忘れた場合の対処についても説明する。
・自宅で家族が介護をする場合、在宅での実現可能な介護方法を話し合う。
・家族で分担したほうが望ましい場合、家族で話し合いの場を設け、状況の説明と今後の予測される経過、必要なケアの量について説明を行う。そのうえで、誰が何を協力するかを話し合ってもらう。
・家族の構成員の頑張りを認め、それぞれが頑張りを共有する。
・慢性疾患の場合の、増悪時の対応(発作、低血糖、浮腫増強など)について指導する。
・医療的ケアが必要となった場合、業者とのやり取り(HOT・酸素ボンベの取り寄せ、人工呼吸器業者、腹膜透析業者など)や、緊急時のやり取りについて話しておく。
・精神疾患の病期について家族に説明し、自殺企図・妄想幻覚の増強で他害などが現れた場合には、迷わず相談するように説明する。(ケアマネ、障害ケアマネ、訪問看護師、訪問診療の医師などいつもの状態を把握している人に相談する)
・依存物質からの脱却を試みる場合には、家族会・自助グループなどの情報提供をする。
・ALSなど難病の場合にも家族会があるため、情報提供をする。
時間が解決してくれるものか、そうでないか。
特定の家族に負荷がかかっていないか、わかっていながら傍観していないか。
それぞれが自分のことしか考えていないと解決しない問題も多くあると思います。
看護師としてできることは何か、踏み込みすぎずにできることと言えば、、、。
どんなに相手のことを思ってこうしたほうがいいと言っても、相手からすれば、あんたは他人なんだし家に帰ったら
あんたは何もしてくれないでしょう?と言われかねませんし、実際そうだと思います。
看護師という立場から、他人だからこそできることとは何か、、、、。
客観的に事実を伝える、予測される経過、かかるお金、労力それをうやむやにせず、明らかにして、家族の構成員に考えてもらうことではないでしょうか?
家族とは何か、○○らしさとはなにか、を考えさせられる診断だと思います。
参照文献
T.ヘザー・ハードマン 上鶴重美. (2016). NANDA-I 看護診断 定義と分類 2015-2017. 医学書院.
T.ヘザー・ハードマン、上鶴重美、カミラ・タカオ・ロペス. (2021年7月1日). NANDA-I看護診断ー定義と分類 2021-2023 原書第12版. 株式会社 医学書院.
リンダJ.カルペニート. (2014.1.1). 看護診断ハンドブック. 株式会社 医学書院.
岡庭豊. (2012). 看護師・看護学生のためのレビューブック. 株式会社 メディックメデイア.
岡庭豊. (2019.3). イヤーノート2020. 株式会社メディックメディア.
黒田裕子(訳). (2015). 看護成果分類(NOC)原著第5版 成果測定のための指標・測定尺度. エルゼビア・ジャパン株式会社.
「家族機能中断」に類似した「家族コーピング機能停止」という診断があります。こちらは、患者がストレスや過大に対してコーピングしようとしているにもかかわらず、家族が邪魔をしてしまうというものです。良かったら参考にしてみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
ご意見、感想、質問などがありましたら、下のコメント欄よりお待ちしています(*^▽^*)
コメント