看護計画 領域11 安全/防御

NANDA-00031 看護計画 非効果的気道浄化

領域11 安全/防御 危険性や身体損傷や免疫系の損傷がないこと、損失の予防、安全と安心の保障

類2 身体損傷  身体への危害または傷害

00031 非効果的気道浄化

看護診断 非効果的気道浄化

定義:きれいな気道を維持するために、分泌物または閉塞物を気道から取り除くことが低下した状態

 

1、看護診断「非効果的気道浄化」の対象

 たんの分泌が多くなる、たんが出しにくくなるそんな状態となる原因には何があるが考えてみましょう。

・喫煙者(慢性的な気道の炎症で痰が多くなる)

・呼吸器系の疾患(痰の分泌が多くなる):

・COPD(喫煙による気管の炎症で分泌物増加)

・呼吸器感染症(鼻腔、副鼻腔、気管、気管支、肺胞での炎症反応により痰の産生が増加)

・気管支炎、肺炎、肺水腫、副鼻腔炎

・気管支拡張症(気管支の慢性的炎症→喀痰困難→気管支・肺胞破綻→気管支拡張という機序をたどる)痰が多く、時に血痰が出る

・肺結核(肺尖部での結核菌の増殖、肺門部リンパ節腫大する。喀痰と、空洞病変では喀血あり)

※医師指示で隔離解除となるまでは陰圧室管理(空気感染するため)。接触時はN95装着

・肺がん(たんが多くなります)

・人工呼吸器装着者(人工呼吸器関連肺炎VAP)

・気管切開(病原菌が肺に侵入しやすくなる)

・自己喀痰ができない、または難しくなる患者:

 ・認知症

 ・神経筋疾患(ALS、パーキンソン病、筋ジストロフィー)

 ・鎮静剤使用中

 ・脳血管疾患後の後遺症→麻痺、咳嗽反射が起こらない(咳嗽中枢は延髄)

 ・気管支喘息(慢性的な気道の炎症があります。たんはあまり出ません)

 ・アレルギー性疾患(花粉症など)

 

2.目標設定

 ※「リンケージ」は「NANDA」「NIC」「NOC」をつなぐ役割があります(リンクは「連結」の意味)。

1)リンケージ上の成果

 ・誤嚥の予防(1918)

 (定義:水分や固形物が肺を通過するのを予防する個人の行動)

 ・呼吸の状態:気道開通(0410)

 (定義:気管気管支の気道が開通している程度)

 ・呼吸の状態:換気(0403)

 (定義:肺への空気の出入り)

2)目標

目標は、患者さんを「主語」にします。
「看護者が○○できる」ではなく、
「患者さんが○○できるようになる」といった具合です。

 ・気道分泌物を自己喀出し閉塞や肺炎を防ぐ。

 ・誤嚥しない食事法(ポジショニング・食事形態・摂食法)を身に着ける。

 ・唾液を誤嚥しない体位を身に着ける

 ・(気管支喘息)

   吸入薬や内服薬の用法用量を守り、気道の閉塞を防ぐ。

 

3.看護計画

1)観察計画 OP

 ・呼吸数

 ・呼吸リズム

 ・呼吸音(エア入り、左右差)、肺雑音

 ・呼吸困難、起座呼吸、口すぼめ呼吸、陥没呼吸

 ・酸素投与量、意識レベル、せん妄

 ・SPO2=90%以下

 ・血液ガス(PaO2=90Torr以下)

 ・画像診断(肺野の陰影)

 ・血液検査

 (WBC、プロカルシトニン、CRP、好中球などの炎症反応)

 ・チアノーゼ

 ・咽頭部の痰貯留音

 ・咳嗽

 ・痰の性状、量、臭い

 ・チョークサイン

 ・発熱(平熱より1℃以上の体温上昇)

 ・食事の形態(嚥下機能に適した食形態か)

 ・嚥下機能障害の程度、VT(嚥下造影)、VF(嚥下内視鏡)

 ・食事の際の姿勢

 ・食事の際の一口量

 ・食事介助の手技(介助者の手技)

 ・認知力低下

 ・異食行為(認知症でティッシュを食べるなど)

 ・口腔内の清潔

 

2)行動計画 TP

 ・気道分泌物のある場合は吸引をする。

 ・アレルギーなどで気道分泌物が増加している場合には、アレルゲンを除去する。

 ・痰の粘稠度が高い場合には水分摂取を促す(水分制限のある患者はダメ)

 ・吸引は清潔操作で行う。

 ・吸引中はパルスオキシメーターを装着し、SPO2の低下に気をつける。

 ・排痰ケアを行う。(スクイージング、体位ドレナージ)

 ・排痰ケアを行う。(カフアシスト、RTX)

 ・含嗽ができれば行う。

 ・ネブライザーの指示があれば行う。

 ・自力で喀痰ができるように補助する(ハフィング)。

 ・深呼吸を促す(腹式呼吸)

 ・疼痛により咳嗽ができない場合には、創部を抑えながら咳嗽を促す。

 ・疼痛で咳嗽ができない場合には、医師の指示に従い、鎮痛薬を投与する。

 ・患者さんが吸入薬の使用手技を獲得するまで一緒に行う。

 ・食事の際には体位を整える。経管栄養はG-UP30度以上。

 ・食前に嚥下体操を行う。パタカラ体操。

 ・嚥下機能に応じた食形態へ変更する。

 ・むせないよう一口ずつ、嚥下を確認しながら食事介助を行う。

 ・食後は義歯を外し、マウスケアを行う。

 ・食後30分は座位(ファーラー位でも)を保持する。

 

3)教育計画 EP

・自己喀痰の方法を説明する。

・体位ドレナージの効果を説明する。 

・食事形態の変更が受け入れられるように十分に説明する。

  (刻み・とろみやムースが嫌だという人は意外と多くいます。)

 ・一口ずつ、よくかんで、飲み込んでから次の一口を摂取するように説明する。

 ・嚥下体操は自身でもできる部分が多くあるので、一人でもできるように練習を促す。

 ・呼吸困難や変調があったらすぐにナースコールをしてもらうようにお願いする。

 ・マスクや手洗いなどの感染予防策の必要性を説明する。

 ・(アレルギー性疾患、喘息)吸入薬や内服薬の継続の必要性を説明する。自己中断しないように説明する。

 ・(喘息)含嗽で喉を潤す、部屋を加湿・加温する、ストレスを貯めない、ほこりを吸い込まないように掃除するなどで発作の原因を除去するように説明する。

 ・(喘息)発作時は、メプチンなどのβ2作動薬を吸入し、発作が収まらない時には受診するように説明する。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

ガス交換障害も参考にしてみて下さい。

 

参照文献
T.ヘザー・ハードマン 上鶴重美. (2016). NANDA-I 看護診断 定義と分類 2015-2017. 医学書院.
岡庭豊. (2012). 看護師・看護学生のためのレビューブック. 株式会社 メディックメデイア.
岡庭豊. (2019.3). イヤーノート2020. 株式会社メディックメディア.
黒田裕子(訳). (2015). 看護成果分類(NOC)原著第5版 成果測定のための指標・測定尺度. エルゼビア・ジャパン株式会社.
山口徹 北原光夫 福井次矢. (2012). 今日の治療指針.
山内豊明. (日付不明). フィジカルアセスメントガイドブック. 医学書院.
青柳智和. (2018). 洞察力で見抜く急変予兆~磨け!アセスメントスキル~. 株式会社ラプタープロジェクト.
大橋優美子 吉野肇一 相川直樹 菅原スミ. (2008). 看護学学習辞典(第3版). 株式会社 学習研究社(学研).

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