看護計画 領域4 活動/休息

NANDA-00198 看護計画 睡眠パターン混乱

領域4 活動/休息 エネルギー資源の産生、保存、消費、またはバランス
類1 睡眠/休息 眠り、休養、安静、くつろぎ、不活動状態

00198 睡眠パターン混乱

看護診断:睡眠パターン混乱
定義:外的要因によって、睡眠の量と質が一時的に妨害されている状態

2021年版では定義が少し変更になっています。
定義:外的要因
による、限られた時間の覚醒

看護診断「睡眠剥奪」と内容が似ています。睡眠パターン混乱では外的要因による睡眠障害を取り扱っていますが、睡眠剥奪では、レストレッグ症候群などの疾患も含めた睡眠障害を扱っています。リンクを張っていますのでそちらも参考にしてみてください。

1.「睡眠パターン混乱」の関連因子

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・一緒に寝るひとが原因で起こる睡眠の中断
・環境障壁(周辺雑音・日光/暗闇に体をさらすこと・大気温度・湿度・慣れない環境)
・拘束(固定)
・プライバシーの不足
・体力の回復しない睡眠パターン(介護責任、親業、一緒に寝る人に起因する=面倒を見る必要があり眠れない)
  

2.睡眠周期

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ナショナルジオグラフィック日本版サイト(文:三島和夫) 参照
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/15/403964/121100105/?P=2
最初のレム睡眠は寝ついてから1〜2時間ほどで出現し、以後平均して約90分周期で一晩に4~5回出現する。レム睡眠は睡眠時間全体の20〜25%を占める。7時間睡眠であれば1晩に80~100分ほどのレム睡眠が出現する。1回あたりのレム睡眠は平均で20分ほどだが、体内時計の指令で明け方になるにしたがって長くなり、最後のレム睡眠は1時間以上も続くこともある。


1)レム睡眠

急速な眼球運動を伴い抗重力筋の緊張が消失して身体が無動化するため、身体の睡眠と言われる。
妨害されると身体の不全感や集中力がかけるため、日中の活動への影響が大きい。睡眠の後半期に多く現れ、全体の25%である。


2)ノンレム睡眠

エネルギー保存の役割を担うとされ、脳の睡眠といわれる。4段階に分けられる。
段階1は、入眠時のウトウト状態、段階2は僅かな刺激で目を覚ます浅い眠り、段階3と4は脳波上の振幅の差はあるものの一括して深い眠りで徐波睡眠と呼ばれる熟眠状態を指す。この徐波睡眠は前半に多く見られる傾向がある。


3)睡眠周期から分かることと、理想的な睡眠時間について

睡眠の前半では脳の休息であるノンレム睡眠の徐波睡眠が多く見られるのに対し、睡眠の後半では身体の急速であるレム睡眠が多く見られる。よって、脳と身体の両方の休息を得るためには、まとまった睡眠を取る必要があると言える。
では理想的な睡眠時間とは何時間でしょうか?
大塚製薬 睡眠リズムラボの記事を参照し考えてみます。
https://www.otsuka.co.jp/suimin/column02.html
最適な睡眠時間は8時間と言われていましたが、米国の睡眠時間と死亡リスクの関係をみた大規模調査(110万人対象)では、睡眠時間7時間の人が男女ともに最も長生きしているという調査結果がでました。
短い睡眠では生活習慣病のリスクが高まるという研究結果も発表されていますが、反対に長い睡眠でも死亡リスクがあるという結果も出ています。
これは米国での結果ですから、日本人でも同じように当てはまるとも限りません。
睡眠障害の対応と治療ガイドラインでは、「睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分」と示されていますので、日中の生活に支障が出ない睡眠時間がその人に取って適切な睡眠時間と言えそうです。
さらに、睡眠の質は加齢とともに変化しています。
加齢とともに睡眠時間は短くなり、眠りも浅くなります。
結論としては、脳と身体の両方の休息のためにはある程度のまとまった睡眠が必要だが、ひとそれぞれ理想的な睡眠時間は異なり、日中に眠気で困らない程度の睡眠が理想と言える。

 

3.良い睡眠(質の評価)について

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健康長寿ネットを参照しています。
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-suimin/shitsunoyoisuimin-koka.html


1)睡眠の質の評価

①主観的評価:
・起床後に自分の睡眠を振り返る。熟眠感、寝心地、目覚め感
・日中の生活の満足度(睡眠は日中の覚醒状況と相互に影響しているため、不眠が活動に影響を及ぼす。)
②客観的評価:脳波の測定をする

2)質の良い睡眠(厚生労働省「睡眠の質評価指標」参考)

 ・規則正しい睡眠、覚醒のリズムが保たれ、昼夜のメリハリがはっきりしている
 ・必要な睡眠時間が取れており、日中に眠気や居眠りすることなく、良好な心身の状態で過ごせる
 ・途中で覚醒することが少なく、安定した睡眠が得られる
 ・朝はスッキリ気持ちよく目覚める
 ・目覚めてからスムーズに行動できる
 ・寝床についてから、過度二時間をかけすぎずに入眠できる
 ・睡眠で熟眠感が得られる
 ・日中、過度の疲労感がなく満足が得られる

3)良い睡眠の健康への効果

 ・生活リズムが整いやすくなり、ホルモンバランスが整う。
 ・抑うつや不安などの精神安定作用もある。
 ・活動がスムーズに行える(倦怠感や眠気などがなく活動できる)。

 

4.睡眠障害について 

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1)睡眠障害(不眠)の定義

(恒藤暁 内布敦子. (2010). 系統看護学講座 緩和ケア. 株式会社 医学書院.より引用)
「睡眠時間、その効用および質に対する不満足感を反映した多様な訴えと定義付けられる」
 →「十分に眠れない」「熟睡できない」という睡眠に対する患者の主観的評価といえる

2)不眠(睡眠障害)の種類

①入眠障害(寝付きが悪い)
②中途覚醒(夜中に目が覚める)
③早朝覚醒(朝早くに目が覚める)

3)不眠の原因

①身体的要因
 痛み、低酸素血症、頻尿、多尿
②精神的要因
 抑うつ(早朝覚醒や熟眠障害リスク)、不安(入眠障害リスク)、せん妄(昼夜逆転による夜間の不眠リスク)
③薬剤性要因
 ステロイド(不眠、焦燥、抑うつ、躁、せん妄のリスク)
 向精神薬、抗不安薬、中枢神経刺激薬(アミノフィリン、メチルフェニデート)、降圧薬(αメチルドパ、プロプラノロール)、オピオイド
④環境要因
 入院という環境の変化、物音、同室者との関係

4)不眠の治療

 基本的には原因への対応を行う。
 痛みには鎮痛、低酸素には酸素投与や鉄剤投与など、頻尿には水分摂取量調整や頻尿改善薬などで
 原因に対してアプローチする。


1)非薬物療法

 ①睡眠健康教育
  目的:睡眠を障害する生活習慣および環境要因を変化させる。
  介入:就寝時に刺激物(コーヒーや喫煙)と飲酒を避ける。
     就寝前に思い食事や辛い食事をしない。
     午後、規則的に軽い運動をする。
     暗く、静かで快適な睡眠環境を作る。
 ②刺激制限療法
  目的:時間(就床)と環境(寝室)の刺激を関連付ける。
     規則的な睡眠覚醒リズムを確立する。
  介入:就寝前に最低1時間リラックスするための時間を確保する。
     就寝前に何か決めごとを行うようにする。(眠る前のルーチン)
     眠気が出てからベッドに入る。
     15-20分経っても寝付けない時はベッドから出て寝室を離れ、眠くなったら再びベッドに就く。
     起床時間を一定にする。
     寝室では睡眠や性行為以外に使用しない(テレビやラジオ鑑賞をしない、飲食しない)。
 ③睡眠制限療法
  目的:ベッドで過ごす時間を実際の睡眠時間に短縮する(軽度の睡眠剥奪を行うことで
より集中的に睡眠可能となる)
  介入:ベッドで過ごす時間を実際の睡眠時間の合計に制限する。
     睡眠効率が改善したらベッドで過ごす時間を徐々に長くする。
 ④リラックス訓練
  目的;睡眠を障害する身体的及び認知的な覚醒を低下させる。
  介入:漸進的筋弛緩法(漸進:ぜんしんとは少しずつすすむことです)、自立訓練、
     バイオフィードバック、イメージ療法、催眠

(2)薬物療法

 入眠障害:超短時間作用型(ゾルピデム、ゾピクロン、ハルシオン)
      短時間作用型(デパス、レンドルミン、リスミー)
 中途覚醒・早朝覚醒:中間作用型(エスタゾラム、フルニトラゼパム)
 経口摂取困難例:点滴の長短時間作用型(ミタゾラム(ドルミカム))
         点滴の中間作用型(フルニトラゼパム)

 ※ベンゾジアゼピン系の副作用

  過鎮静:眠気、集中力低下、注意力低下、反射運動機能低下、めまい、頭痛
  筋弛緩作用:ふらつき、転倒
  健忘:服薬後の記憶が無くなる(前向性健忘)
  退薬症状:服薬停止による不眠やせん妄。短時間作用型で出現しやすい
  依存:退薬症状が出るため服用を中止できない。飲まないと不安
  呼吸抑制:大量服用や高齢者で出現の可能性あり

 

5.看護診断「睡眠パターン混乱」の適応


・加齢に伴う睡眠段階の変化
・認知症(長谷川式20点以下、MMSE21点以下)
・体力の回復 しない睡眠パターン(介護責任、親業、一緒に寝る人に起因する=面倒を見る必要があり眠れない)
・環境障壁
 ・周辺雑音
 ・明かり
 ・暗闇への恐怖
 ・室温、湿度
・日中の活動に影響が出ている
 ・日中の集中力低下
 ・幻覚
 ・情緒不安定(イライラ、興奮、混乱、不安、無関心)
 ・手の震え、知覚障害
 ・眠気、嗜眠
 ・倦怠感、消耗性疲労
・熟眠感がない
・寝付けない
・中途覚醒

 

6.目標設定


リンケージによる目標設定(NOCの後半に載っています)
 ※「リンケージ」は「NANDA」「NIC」「NOC」をつなぐ役割があります(リンクは「連結」の意味)。

1)リンケージ上の成果

睡眠(0004)
 (定義:身体の回復を伴う自然で周期的な意識の停止)
介護者のライフスタイルの混乱(2203)
 (定義:介護による家族のライフスタイルへの混乱の程度)
・消耗性疲労のレベル(0007)
 (定義:観察もしくは報告された、長引く一般的な疲労の重症度)

 

)目標

目標は、患者さんを「主語」にします。
「看護者が○○できる」ではなく、
「患者さんが○○できるようになる」といった具合です。

・養育や介護による睡眠パターン混乱は、対象者が眠っている間に自分も眠るなど、自身の睡眠も確保することができる。

・養育や介護による睡眠パターン混乱は、社会資源なども活用し、睡眠時間を得ることができる。

・困ったとき、不安なとき、ストレスを抱えているときには、一人で抱え込まず、信用できる人に相談したり、医療機関やサポート機関に相談することができる。

・疾患管理のための内服薬は、医師の指示通りに服用する。

※看護師の目標としては以下のようなものが挙げられると思います。

・睡眠障害をきたしている原因をできる限り取り除き、良眠につなげる。
・日常生活を見直し、活動と休息のリズムを整える。
・質の良い睡眠の効果の理解を促す。
・特定の介護者や養育者の、過度な介護や育児負担を減らすための、医療福祉サービスの活用を促す(孤立からの精神疾患発症や虐待を防ぐ)。

7.看護計画


1)観察計画《OP》

・高齢者(眠りが浅く睡眠時間短い)、若年者(夢遊病、夜驚症の可能性)
・認知機能低下
・睡眠時間
・就寝時間
・睡眠パターン
・熟眠感
・夜間排尿回数
・睡眠中の無意識の覚醒、叫び、徘徊(夜驚症、夢遊病)
・睡眠中のビクつきにより目が覚める
・疼痛、呼吸苦などの身体状況
・環境(光、音、室温、湿度)
・環境の変化
・使用している寝具(マットの硬さ、枕の高さ・材質)
・睡眠導入剤の使用、効果
・睡眠障害をきたす薬剤の内服の有無
・意識障害(せん妄)をきたす薬剤、環境
・ストレッサー
・身体拘束の有無、拘束部位のトラブル
・活動への意欲・日中の集中力低下
・情緒不安定(イライラ、興奮、混乱、不安、無関心、泣く)
・手の震え、知覚障害
・眠気、嗜眠
・食欲低下
・倦怠感、消耗性疲労
・頻尿、多尿、失禁などへの不安
・介護状況(自宅で介護している)
・育児状況(一人で育児をしている、双子などの多くの乳幼児を一人で育児している)
・被介護者への虐待
・乳幼児への虐待

 

2)行動計画《TP》

・環境整備をする。(静かな暗い環境、寝具の中の温度は33℃前後、湿度50%前後)
・よく眠れる寝具を選択してもらう(吸湿・放湿性がよく、保温性のよいもの)(マットレスは適度に硬く、体が沈みこみすぎないもの)
・日中の短時間の昼寝(成人15分程度、高齢者30分程度)
・起床時にカーテンを開けて、日光を取り入れる(サーカディアンリズムの調整)
・睡眠2~3時間前の入浴(体を温めると寝つきやすくなり、且つ深い眠りも得られる)
・日中に歩行訓練など運動を取り入れる(運動で体を温めると寝つきやすくなり、且つ深い眠りも得られる。ただし、寝る直前の激しい運動は体が興奮してかえって眠れなくなり逆効果。
・睡眠導入薬の内服を介助する。
・ベンゾジアゼピン系の内服などの副作用を観察する。(特にせん妄、転倒、呼吸抑制)
・足浴や入浴など体の温まるケアを行う。
・不安を傾聴しストレス緩和につなげる。
・マッサージなどのリラクゼーションを行う。
・身体的要因(痛み、低酸素、頻尿、多尿)などが睡眠を傷害している場合には、医師へ報告し、原因への介入をしてもらう。
・痛みがあり、屯用での鎮痛剤使用の指示があれば、鎮痛薬を使用する。
・睡眠時無呼吸症候群でNPPV装着の場合には装着介助や、装着中の観察を行う。
・育児負担がある場合には、休息のための介入をしてもらう(市町村の窓口に相談。市町村
によってサービスの名前や内容が異なるので、まずは相談をする)。
・介護負担がある場合には、ソーシャルワーカーやケアマネジャーや市町村の福祉課へ相談する。レスパイトのための計画を立ててもらう。

 

3)教育計画《EP》

・就寝環境を整えるよう勧める。(静かな暗い環境、寝具の中の温度は33℃前後、湿度50%前後)
・起床時にカーテンを開けて、日光を取り入れる(サーカディアンリズムの調整)よう勧める。
・睡眠2~3時間前の入浴(体を温めると寝つきやすくなり、且つ深い眠りも得られる)ように勧める
・睡眠導入剤を自己管理している場合には、医師の処方上の用法と容量を守るよう説明する。
・疼痛など、睡眠中の覚醒につながる因子があれば、申し出るように伝える。
・頻尿で覚醒が多い場合には、申し出るように伝え、そうだった場合には夜間尿回数を医師へ報告する。
・質の良い睡眠の効果について説明する。
・睡眠前に脳への刺激となるスマホの使用は避けるよう説明する。
・育児に追われ、精神的にも肉体的にも疲労してしまう前に、一人で抱え込まないように相談するように説明する。必要時はソーシャルワーカーに引き継ぎ対策を取ってもらう。
・介護負担で精神的にも肉体的にも疲労してしまう前に、一人で抱え込まないように相談するように説明する。必要時はソーシャルワーカーに引き継ぎ対策を取ってもらう。

 

参考文献:

T.ヘザー・ハードマン 上鶴重美. (2016). NANDA-I 看護診断 定義と分類 2015-2017. 医学書院.
恒藤暁 内布敦子. (2010). 系統看護学講座 緩和ケア. 株式会社 医学書院.
黒田裕子(訳). (2015). 看護成果分類(NOC)原著第5版 成果測定のための指標・測定尺度. エルゼビア・ジャパン株式会社.
岡庭豊. (2012). 看護師・看護学生のためのレビューブック. 株式会社 メディックメデイア.
大橋優美子 吉野肇一 相川直樹 菅原スミ. (2008). 看護学学習辞典(第3版). 株式会社 学習研究社(学研).

 

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。ご意見ご感想ご質問がありましたら下のコメント欄よりお待ちしております(゚▽゚)

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