領域1 ヘルスプロモーション
安寧状態または機能の正常性の自覚、およびその安寧状態または機能の正常性のコントロールの維持と強化のために用いられる方略

類1 健康自覚 正常機能と安寧状態の緩和

気分転換活動不足 00097(→2021より気分転換活動参加減少)


看護診断:気分転換活動不足
定義:レクリエーションや余暇活動から得る刺激(またはそれらへの興味や関与)が減少した状態

2021年版では診断名・定義が少し変更になっています。

看護診断:気分転換活動参加減少(2021~)
定義:
レクリエーションやレジャー活動からの刺激、またそのような活動への関心や参加が減少した状態

1.気分転換活動不足の適応

気分転換活動参加減少に診断名が変更となってから、いくつかの診断指標・関連因子が増え、新たに「ハイリスク群」と「関連する状態」という項目が追加となりました。

・年齢の極端(高齢者、小児)
・入院の長期化(刺激のない生活)
・施設入居の長期化(刺激のない生活)
・環境変化(これまでとは勝手の違う生活、我慢を強いられる生活)
・治療計画(活動制限、隔離)
・面会制限
・気分障害、モチベーション低下、感覚の鈍麻
・身体持久力の不足
・身体可動性障害
・身体的苦痛・精神的苦痛
・昼夜逆転、生活リズムの乱れ、頻回の昼寝
・利用できる活動の不足、制限
・疼痛

2.NOC・リンケージによる目標設定


 ※「リンケージ」は「NANDA」「NIC」「NOC」をつなぐ役割があります(リンクは「連結」の意味)。

1)リンケージ上の成果

・孤独感の重症度(1203)
・クライエントの満足:身体的環境(3007)
・入院に対する子供の適応(1301)

2)目標

目標は、患者さんを「主語」にします。
「看護者が○○できる」ではなく、
「患者さんが○○できるようになる」といった具合です。

・社会活動に参加できる。

・自身のADLや認知力に合った、楽しみを見つけることができる。

・信用できる人の意見や提案を聞き入れることができる。意見は特定の人のみのものを信じず、複数人から意見を聞き、妥当なものを選択することができる。(資産・金銭に関することは特に注意する)

・自身の意見を表出することができる。

※看護師の目標としては以下のようなものが挙げられると思います。

・生活リズムを整え、心身のバランスが維持されるように支援する。
・活動の場、機会を作り、参加を促す。
・環境変化による不安やストレスを緩和するための療養環境を作る。
・治療計画による不安やストレス、疼痛を緩和し、気分転換活動への参加を促す。
・家族と離れることによる孤独が最小限となるように、医療従事者への信頼や親しみを持ってもらうための関わりに務める。
・発達段階に合わせた気分転換のための活動を取り入れ、ストレスの緩和をする。
・気分転換活動への参加により、治療や療養・生活などへの意欲向上を支援する。

 

3.看護計画


1)観察計画《OP》

・バイタルサインの変調(頻脈、頻呼吸、血圧上昇など)
・自覚症状(動悸、呼吸苦、めまい、頭痛など)
・意識レベル、せん妄
・集中力の低下
・睡眠障害
・抑うつ状態
・疼痛があり不安、苦痛
・鎮痛剤の内服の有無(鎮痛剤はあまりよくないと痛みを我慢していないか)
・鎮静効果のある薬剤の使用
・ターミナル、急性期などの死への不安
・慣れない環境での生活(入院や施設への入居)
・病院の臭い、音、声など落ち着かない環境
・帰属感の喪失(家族からの孤立)
・社会的孤立(入院や入所により地域社会から離れて生活)
・治療計画による面会制限(免疫力低下、特殊な環境への入院などによる孤立)
・精神科閉鎖病棟への入院
・長期間に渡る治療計画(抗がん剤、放射線治療、手術療法など)
・治療中正常過程からの逸脱(バリアンス)
・治療への不安や恐怖・ストレス
・新しい環境での不安や恐怖・ストレス
・慣れない業務や人間関係の不和
・いじめ
・パワハラ、セクハラなどのある環境、我慢する性格
・人間関係での関係構築困難(適応障害など人間関係がうまくいかない)
・自分の考えや気持ちがまとまらない、伝えられない
・(児童)親との相互作用、分離不安
・(児童)発達段階、入院の目的を理解できる年齢か
・(児童)痛みを伴う治療、苦しい治療
・(児童)学校生活・友人からの隔離
・(児童)治療内容を理解しているか
・気分転換活動の内容、頻度、対象者
・気分転換活動への参加歴、参加時の状況(楽しい、成功したなどのプラスの経験であったか)
・気分転換活動に参加したくない理由
 

2)行動計画《TP》


・環境整備を行い、安全な環境にする。
・ナースコールを手の届くところに配置し、不安が増強しないようにする。
・面会が制限されている場合にはリモート面会などをセッティングする。
・新しい環境で落ち着かない場合には、これまで使っていたものを持ってきてもらう。時計、ぬいぐるみなど馴染みのもの。
・新しい環境に馴染んでもらえるように、コミュニケーションをとったり、清潔ケアを通じて信頼関係を構築するように関わる。
・新しい環境で睡眠障害が起きている場合には、日中の活動量を増やしたり、環境を整えたりし、それでも改善されない場合には医師へ相談する。・
・生活リズムが整う関わりをする。日中覚醒を促し、夜間眠れるようにする。朝一番で日光を取り入れるなど。
・ADLの低下などで、できないことが増えてきたことによるストレスがある場合には、出来ることに目を向けて自助具などを使用して自己効力を高め、不満や不安因子を取り除く。
・不安やストレスが強く、落ち着かない場合や、不穏によって危険行動をきたす場合には、部屋をナースステーションの近くにして見守りができる環境とする。安全が確保された状況で気分転換活動を行う。
・新たな薬剤の開始(鎮静効果のあるもの)で活動への意欲低下が見られる場合は、リーダーへ報告し、医師へ上申してもらう。
・気分転換活動のための場所、機会を企画し、実施する。
・リラクゼーション(治療に影響を与えない程度の軽いマッサージや、入浴時に入浴剤を使うなど)ヲ取り入れ、リラックスできる機会を与える。
・レクリエーションなどでは、対象者のADLに合わせた企画(車椅子でも参加できるようにする、など)を立てる。
・レクレーションやリハビリが成功体験となるよう、意欲向上や達成感が得られるような声かけや関わりをする。
・ターミナルで死への不安がある場合には、キューブラロスの「死の受容過程」の段階(✩1)のどの部分に該当するか考える。その上で苦痛を緩和しながら、最期の時を有意義に過ごせるようにするには何ができるか考えてもらう。面会を行ってあっておきたい人にあう、孫が入学するまで生きる、やり残していたことを家族に伝えるなど。また、話を聞いて精神的に支える。(「✩2医師に対する期待」参照)
・抑うつなどは専門的な治療が必要か、看護間でカンファレンスを行い、必要がる場合は医師へ上申する。
・(児童)児の発達段階に合わせ、環境を整備する。危険なものは排除する。馴染みのものを置く。
・(児童)治療の前には、発達段階に合わせたプレパレーションを行う。嘘はつかない声掛けをする(痛い処置なのに「痛くない」と言ったりしない。「痛いけどそばにいるから頑張ろうね」などと声掛けの内容を考える。)
・(児童)学童期、思春期など多感な時期には言葉に気を付ける。納得して治療を受けられるように、発達段階に合わせた説明をする。
・(児童)発達段階に合わせた気分転換の方法を取り入れる。
・(児童)面会時間や場所の調整を行う。

✩1 エリザベス・キューブラ・ロスの「死の受容過程」

※医学書院「基礎:心理学」を参照しています。
キューブラロスはアメリカの精神科医で、末期がん患者200人にインタビューを行い、死を受け入れるまでにどのような心境変化があるかを調査しました。
①否認と絶望:自分の死についての情報が真実と思えず、誤診や検査データの誤り出ないかと考え、現実を見ることができなくなる時期。
②怒り:なぜ自分が死ななければならないのかという怒りや恨みが出現する。家族や医療従事者へ八つ当たりすることがある。
③取引:神仏などにお祈りして治してもらおうと考える。
④抑うつ:どうにもならないと諦める。
⑤受容:抑うつや怒りを脱し、運命を受け入れる。この段階にすべての患者が到達できるわけではない。
※①~⑤は一方向ではなく、行き来を繰り返し⑤へと向かう
※④の抑うつ時は自傷のリスクがあるので気をつける
※①~⑤への進行にかかる時間は人それぞれで個人に合わせた介入が必要

患者は、医師の手腕(知識や技術)よりも、親切で理解があって同情してくれることに「医師の良さ」を感じていることが分かる。これは、医師に対してでなく、看護師に対しても同様のことが言える(と思うし、実際にそう感じている)。
 だからといって、知識や技術が軽視されていいわけではないので、専門職としての品質は保てる努力をしましょう(*゚▽゚*)

 

3)教育計画《EP》

・気分転換のための活動を一緒に考える。
・気分転換活動をしたくない理由を一緒に考える。
・ご家族にも参加していただけるよう説明する。
・ADL低下による気分の落ち込みがある場合には、出来ることに目を向けて、出来る事を一緒に考える。
・ターミナルや急性期で死の恐怖がある場合には、死の受容過程に応じて、対応する。特に④抑うつの時期には自傷行為の可能性が高いため、発言や行動を注意深く見守る。
・パワハラやセクハラなどの上司からの圧力がある場合には、社内の人事やハラスメント対策の係に相談するよう勧める。
・一人で悩まず、話してもらうように勧める。
・いじめがある場合には、学校のカウンセラーに相談するよう勧める。(第三者の中立的な立場の人に相談する)
・(児童)児が少しでも安心して治療に臨めるように、親と協力しながら気分転換活動を取り込む。

 

 

参照文献
T.ヘザー・ハードマン 上鶴重美. (2016). NANDA-I 看護診断 定義と分類 2015-2017. 医学書院.
T.ヘザー・ハードマン、上鶴重美、カミラ・タカオ・ロペス. (2021年7月1日). NANDA-I看護診断ー定義と分類 2021-2023 原書第12版. 株式会社 医学書院.
岡庭豊. (2012). 看護師・看護学生のためのレビューブック. 株式会社 メディックメデイア.
岡庭豊. (2019.3). イヤーノート2020. 株式会社メディックメディア.
黒田裕子(訳). (2015). 看護成果分類(NOC)原著第5版 成果測定のための指標・測定尺度. エルゼビア・ジャパン株式会社.
山口徹 北原光夫 福井次矢. (2012). 今日の治療指針.
山内豊明. (日付不明). フィジカルアセスメントガイドブック. 医学書院.
青柳智和. (2018). 洞察力で見抜く急変予兆~磨け!アセスメントスキル~. 株式会社ラプタープロジェクト.
大橋優美子 吉野肇一 相川直樹 菅原スミ. (2008). 看護学学習辞典(第3版). 株式会社 学習研究社(学研).

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投稿者 FlorenceMYM

“NANDA-00097 看護計画 気分転換活動不足(気分転換活動参加減少) ” に1件のフィードバックがあります

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