いつもご覧いただきありがとうございます。
検査シリーズとしていくつかの検査に分けて紹介していきます。
シリーズ1は、血液検査について、シリーズ2では、細菌・ウィルス検査について紹介しました。
シリーズ3では、尿検査について触れていきます。
実習、臨床での参考にしていただければ幸いです。
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目次
Ⅰ.尿検査をする目的
1)疾患の推測
尿は血中の不純物や有害物を体外へ排出する目的がある。次項以降で紹介する項目を見ることで
異常が予測できる。
腎炎、腫瘍、肝障害、糖尿病、膀胱炎など。
2)治療経過の把握
尿中に排泄された物質を測定することで治療経過を把握する。
3)妊娠。
ヒト絨毛性ゴナドトロピンというホルモンに反応する簡易検査。
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Ⅱ.検査の種類
1)尿中一般物質定性半定量検査
2)尿化学的定量検査
3)尿沈渣検査
1)尿中一般物質定性半定量検査(定性検査)
もっとも一般的な検査。試験紙(テステープ)を尿に浸して反応させる。
検査項目と結果は以下の通り。
最初のスクリーニングとしての役割が大きい。
※亜硝酸塩:植物由来の硝酸塩は尿中に排泄される。尿中の細菌が繁殖すると硝酸塩は細菌により還元されて、亜硝酸塩と変化する。
2)尿沈渣検査
1)の定性検査で引っかかった項目があった場合、さらに詳しく分析するために、行う検査。
尿を遠心分離し、上澄みと細胞成分に分ける。この細胞成分を沈査という。沈査に含まれる成分の量を数値化する検査。
赤血球、白血球、細菌を顕微鏡で目視する。機械で測定する場合もあり、精度は人間が目視するのと変わらない。
視野に赤血球が認められれば血尿があるといえる。1つの視野に対して赤血球の数を数えることで、血尿の程度も判断できる。
血尿が出る疾患には、尿路結石、膀胱癌、膀胱炎がある。
白血球が認められれば、膿尿。細菌が認められれば細菌尿と判断する。尿路感染の診断となる。
3)尿化学的定量検査
尿生化学では、尿中の、タンパク、潜血、尿糖、尿ケトン体、尿白血球、尿ウロビリノーゲン、尿ビリルビン、亜硝酸塩(※)、カリウム、ナトリウム、クレアチニン、β2マイクログロブリン(尿細管障害)などの物質を機械で測定できる。特定の疾患が疑われた際、また治療の経過を評価する目的で検査される。
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Ⅲ.検体の採取方法
1.採取する時間による違い
1)早朝尿
・就寝前に排尿後は一切の飲食を行わない状態で、朝起きてすぐの尿を採取する。活動により、生理的な血尿やタンパクが出てしまうことがあり、そうした因子を除外するために朝一番の活動前の尿を採取する。
また、摂取した食べ物や飲み物、服薬の影響を受けにくい(成分が安定した)検体が採取できる。
早朝尿の中間尿(後述しています)が最も尿検査に適した検体といえる。
2)随時尿
・その場で尿を採取する。通常のスクリーニング検査に用いられる。
・活動量によりタンパク排泄量にばらつきが生じるため、畜尿検査より正確性に欠ける。
3)畜尿
・一定時間内、もしくは24時間に排泄されたすべての尿を採取する。
・一日すべての尿の成分や尿量を検査すると、詳細な情報を得られる。
2.採取するタイミングによる違い
1)初尿
最初に排出された尿を採取する。尿道炎の原因クラミジアなどの検出に用いる。
2)中間尿
排尿すぐの尿には陰部や尿道の雑菌の混入がおこりやすいため、初めの尿は採取せず、途中から採取する。
最後の尿も採取しない。
3.採取する手段による違い
1)自然尿(全部尿、部分尿)
・全部尿:自然に排出された尿の全量を採取したもの。
・部分用:自然に排出された尿の一部を採取したもの。
2)カテーテル尿
・尿道カテーテルを使用して人工的に採取した尿。外陰部からの混入を除外できるため微生物検査に用いられることがある。
男性は包皮を剥いて亀頭を消毒してから検体を採取する。女性は外陰唇を開き消毒し、採尿している間は外陰唇を開いたままにする。検体として30~40ml必要。
そのまま塗抹検査→培養検査をし、微生物を検出する。
3)膀胱穿刺尿
・直接膀胱を穿刺して採取する尿。微生物検査に用いられることがある。
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Ⅳ.検体の取り扱い
検体は採取直後が最も良い検体となる。遅くとも1~2時間以内には検査する。
常温で放置すると、次のような影響が出て、結果も得られない。
・混入した菌が繁殖する
・白血球が崩壊し白血球数が減少する
・空気に触れると細菌の作用で尿素が分解され、アンモニア臭を発生させる
採尿後に2時間以内に測定できない場合には、冷暗所または冷蔵保存する。
※検査前に常温に戻してから検査される。
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Ⅴ.尿の混濁の原因は?
・尿路感染(細菌や白血球を含む尿)
・膣分泌物の混入
・血尿(腎臓や泌尿器の出血)
・ネフローゼ
・尿酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの塩類(肉類などの動物性食品を多く摂取)
最後までご覧いただきありがとうございました☺
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他の検査シリーズのリンクを張っていますのでよかったら参考にしてみてください。
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参照文献
野中廣志. (2008.6.15). 看護に役立つ検査辞典. 株式会社 照林社.
参照ホームページ
Wikipedia「尿検査」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BF%E6%A4%9C%E6%9F%BB
北九州市立八幡病院 臨床検査技術課 荒木猛 「尿検査について」
https://kansenjuku.com/wp-content/uploads/2016/02/%E5%B0%BF%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E6%8E%B2%E8%BC%89%E7%94%A8.pdf