領域11 「安全/防御」 類5 防御機能  非自己から自己を自分で守る過程

看護診断「ラテックスアレルギー反応」 00041

看護診断:ラテックスアレルギー反応

定義:天然ゴムラテックス製品に対して過敏反応が起きている状態

 

1.ラテックスとは

日本ラテックスアレルギー研究会HP参照 https://www.latex-gl.jp/

1)概要

ラテックスとは、天然ゴムに含まれる主成分である。日用品や医療用など様々なものに使用されている。接触性の皮膚炎だけでなく、アナフィラキシーを起こすこともある。

・医療用:医療用手袋、尿道カテーテル、絆創膏、駆血帯、蘇生用バックバルブマスク、ドレーン、血圧測定用のカフ、聴診器、気管チューブ

・家庭:炊事用手袋、輪ゴム、ゴム風船、コンドーム、工具などのハンドルグリップ、タイヤ、消しゴム、下着のゴム、靴底

・天然ゴムと交差反応性が知られている植物性食品:

バナナ、キウイ、アボカド、クリ、トマト、パパイア、ポテト→これらのアレルギーのある人はラテックスでもアレルギーがある可能性がある。これを「ラテックス-フルーツ症候群」というそうです。

 

2)ラテックスアレルギーハイリスク群

ラテックスアレルギーを起こしやすいグループは、アレルゲンとの接触とアレルギーを起こしやすい素因を持つかどうかによって決まってくると考えられる。

①医療従事者:天然ゴムを含む製品に接触する機会が多い

天然ゴム製の手袋や、その他の天然ゴム製品を頻繁に使用する医療従事者(医師や看護師、歯科医師、歯科衛生士、手術室のスタッフ、実験室のテクニシャン、施設の清掃員など)、医学部や歯学部、看護学部などの医療関係の学生などが該当する。

近年、ラテックスフリー、パウダーフリーの手袋が医療現場に導入されてきたことにより、ラテックスアレルギーの発症率が低下してきている。

②アトピー素因を持つ人:アレルギーを起こしやすい素因を持つ

アトピー素因(数多くの対象物に対してアレルギー反応を起こす傾向がある素因)を持つ人はラテックスアレルギーに罹患するリスクが高い。

③医療処置を繰り返し受ける人:天然ゴムを含む製品に接触する機会が多い

欧米では、1980年代から二分脊椎症を有する患者の多くがラテックスアレルゲンに感作されて、アナフィラキシーショックを起こしたことが報告されている。疾患のために、繰り返し手術を受けている患者は、ラテックスアレルギーに罹患するリスクが非常に高くなる。

④天然ゴム製手袋の使用頻度が高い人:天然ゴムを含む製品に接触する機会が多い

医療以外の分野でも、天然ゴム製手袋の使用頻度が高い職業である食品関係業、清掃業、製造業などの従事者は注意が必要である。最近では医療用ゴム手袋については種々の対策がなされるようになったが、医療用以外のゴム製品に関しては対策がほとんどなされていない。

 

2.看護診断「ラテックスアレルギー反応」の適応

①Ⅰ型アレルギー反応が起きている。(接触後1時間以内に生じる命に関わる反応が起こっている(ラテックスそのものにアレルギー反応を起こしている))

以下の症状が起きている者が対象:

気管支けいれん、胸部圧迫感、全身症状に進展する接触性じんま疹、呼吸困難、浮腫(すなわち、口唇、咽頭、舌、口蓋垂)、低血圧(症)、心筋梗塞、呼吸停止、失神、喘鳴

②Ⅳ型アレルギー反応が起きている接触後1時間以上経過して生じるⅣ型反応は、ラテックスそのものでなく、ラテックス製品に含まれる添加物に対する反応の可能性が高い)

以下の症状が起きている者が対象:

局所症状:湿疹、皮膚のかぶれ、皮膚の発赤、口腔や顔面の紅斑・掻痒・鼻閉

全身性:全身の不快感、全身の浮腫、全身の熱感を訴える、落ち着きがない、潮紅(皮膚充血)

消化器系:腹痛、悪心

 

3.目標設定

リンケージによる目標設定(NOCの後半に載っています)

 ※「リンケージ」は「NANDA」「NIC」「NOC」をつなぐ役割があります(リンクは「連結」の意味)。

1)リンケージ上の成果

・アレルギー反応:全身性(0706)

(定義:特定の環境(外因性)抗原に対する全身の過敏性免疫反応の重症度)

・アレルギー反応:局所性(0705)

(定義:特定の環境(外因性)抗原に対する局所の過敏性免疫反応の重症度)

・ショックの重症度:アナフィラキシー(0417)

(定義:急激に発症した全身の過敏性反応に伴う血管拡張や、毛細血管透過性の亢進によって生じた組織灌流に不十分な血液状態を示唆する症状及び徴候の重症度)

2)目標

目標は、患者さんを「主語」にします。
「看護者が○○できる」ではなく、
「患者さんが○○できるようになる」といった具合です。

・ラテックスアレルギーのあることを自覚し、ラテックス入りの手袋やキウイを避けることができる。

・アレルギー反応について述べることができ、かゆみや発赤、発疹など異常を感じたら、医療機関を受診するなど判断ができる。

・判断力が不十分な幼児や高齢者の、養育者や介護者は、アレルギー反応について述べることができ、アレルゲンを避けた環境整備ができる。

※看護師の目標としては以下のようなものが挙げられると思います。

・患者に対し、アレルギー反応に対する処置(薬剤投与や処置)の理解を促し、治癒過程の促進を促す。

・患者がアレルゲンについて理解し(ラテックス-フルーツ症候群も含む)、アレルゲンを回避する生活方法習得のための支援を行う。

 

4.看護計画

1)観察計画《OP》

リンケージの成果別に観察計画(OP)を立案していきます

〈アレルギー反応:全身性 0706〉〈アレルギー反応:局所性 0705〉

・血液検査(特異的IgE抗体検査:RAST)による原因となる抗原

・アレルゲン(ラテックス)への暴露

・咽頭浮腫・顔面浮腫

・安静時の呼吸困難感・喘鳴・狭窄音・副雑音

・頻脈・血圧低下・不整脈

・肺水腫

・意識レベルの低下

・全身の掻痒感・蕁麻疹・全身の落屑

・点状出血・紅斑

・皮膚温の上昇・発熱・悪寒

・悪心・嘔吐・下痢

・アナフィラキシーショック

・抗アレルギー薬の服薬

・抗アレルギー薬の服薬コンプライアンス

〈ショックの重症度:アナフィラキシー 0417〉

・血圧低下・心拍数増加・不整脈・尿量減少

・意識レベルの低下

・せん妄

・鼻炎

・喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼー)・咽頭痙攣・気管支痙攣・呼吸困難・PaO2の低下

・暖かく紅潮した皮膚

・口唇・眼瞼・舌の浮腫

・血管性浮腫・手足の浮腫・陰部の浮腫

・感覚異常

・掻痒感

・腹部痙攣・嘔吐・下痢

  

2)行動計画《TP》

・ラテックス製品の使用で、呼吸状態の異常、皮膚状態の異常、意識レベルの変容、バイタルサインの異常が見られたら、使用を中断し、直ちに医師へ報告する。

・ラテックスアレルギーのある患者にはラテックスフリーのものを使用する。(駆血帯やカテーテル類、履きもんなどゴム製品は排除)

・ラテックスアレルギーの患者がアナフィラキシーを起こしたら、バックバルブマスクを含む医療機器にもラテックスフリーのものを準備する。皆で情報共有し、謝ってラテックスの含まれているものが使用されないようにする。

・ラテックス-フルーツ症候群を防ぐためにも、食事のアレルギーを聞き取りし、栄養科へ連絡する。アレルギーのある食品が提供されないように連携する。

・治療時の、点滴や酸素などのルート類を整理し、清潔・安全に管理する。

・皮膚の掻痒があっても、掻かないように包帯で保護する。必要時は指示に従って内服薬の介助や軟膏の塗布を行う。

・緊急時でない場合にも、ラテックス製品使用に際しての持続する腹部症状や皮膚症状など発見したら医師へ報告する。

 

3)教育計画《EP》

・どのような製品にラテックスが使用されているかを、パンフレット等で説明する。(日本ラテックスアレルギー研究会などがパンフレットをHP上で紹介しています)

参考:日本アレルギー学会、厚生労働省監修の「アレルギーポータル」参照https://allergyportal.jp/

・食事や薬物投与の際に、息が苦しい、気分が悪い、意識が朦朧とするなどの異常な症状があったらナースコールで知らせるように説明する。

・医師の指示に従って、内服薬や吸入薬は用量用法を守るように説明する。

・一度アナフィラキシーを起こして不安が強い人は、エピペンが所有できないか医師に相談してみることを提案する。

 

参照文献
T.ヘザー・ハードマン 上鶴重美. (2016). NANDA-I 看護診断 定義と分類 2015-2017. 医学書院.
岡庭豊. (2012). 看護師・看護学生のためのレビューブック. 株式会社 メディックメデイア.
岡庭豊. (2019.3). イヤーノート2020. 株式会社メディックメディア.
黒田裕子(訳). (2015). 看護成果分類(NOC)原著第5版 成果測定のための指標・測定尺度. エルゼビア・ジャパン株式会社.
山口徹 北原光夫 福井次矢. (2012). 今日の治療指針.
山内豊明. (日付不明). フィジカルアセスメントガイドブック. 医学書院.
青柳智和. (2018). 洞察力で見抜く急変予兆~磨け!アセスメントスキル~. 株式会社ラプタープロジェクト.
大橋優美子 吉野肇一 相川直樹 菅原スミ. (2008). 看護学学習辞典(第3版). 株式会社 学習研究社(学研).

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投稿者 FlorenceMYM

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